第23話 グランダルクの町
里の村に三日は滞在して鍋や包丁、金属類を打ち直した。
いっぱい食べられたのでちょっと太っちゃったよ。まあ、見た目細いので、あと十キロは肉を付けたいものだ。
「お世話になりました」
ぐっすり眠った次の日、町に向けて出発する。
里の村は野菜を運んでいるので馬車に乗せてもらって向かった。
朝早く出れば八時くらいには着けるかな? まだ、二、三回しか乗せてもらってないから曖昧なんだよね。
「この三日間で男には慣れた?」
ボクが鍋を打っている間、ジージーは村を見て回っていた。
村一つでこの星のことはわからないが、男に慣れるならちょうどいいでしょうよ。
「少しね。でも、骨の髄まで染み込んだ憎しみは消えてくれなかったわ」
まあ、男が敵と教え込まれて来たんだから仕方がないか。何百年と続いている戦争だしね。価値観なんてそう簡単に変えられないか。
「別に許せとは言わないよ。でも、偽るくらいは覚えてもいいと思うよ。自軍にいたときも嫌な上官の命令には従っていたでしょう?」
「ま、まーね」
「男なんて嫌な上官と同じだよ。憎いからって殺すわけにもいかないでしょ? もちろん、害しに来たら殺してもいいけどさ。要はその見極めをしろ、ってことだよ」
味方か敵か。そうでないか。そう単純でもないから生きるって大変なのよ。
「レイって達観しているわよね」
「そりゃ一回死んで、まったく違う世界に生まれてしまえばいろいろ悟ったり達観したりするよ。ジージーだってこんな原始時代に落ちて来ていろいろ思うことはあるでしょう?」
「ま、まーね」
「嫌だ帰りたいって叫んで状況がひっくり返せるなら力の限り泣き叫ぶよ。でも、いくら泣き叫んでもこの現実はひっくり返せない。なら、一つ一つ乗り越えて行くしかないよ」
きっとジージーは見た目より若い。戦争ばかりの毎日。人として大切なことを学んで来れなかったはずだ。
「ジージーは結構順応力や理解力が早いと思うからこの星でもしぶとく生きられると思うよ」
「わたし、しぶといかな?」
「しぶといしぶとい。狩りをして解体して肉を食べられるんだからね」
ボクだったら挫けていたと思う。かなりいい家に生まれたから慣れて行けたのだ。
「なんでしょう? 褒められている気になれないわ」
「えー。褒めてるのに~」
そんな悲しいわ~。ボクはいつだって本気なのに~。
「町が見えて来たぞ」
と、御者のおじさんが教えてくれた。
ジージーに荷台に立ち、高い城壁を見詰めた。
「辺境の町、グランダルクだよ」
ジージーには最初の町ってところね。




