第17話 青白い稲妻
これは旅の練習なので、夜のことはジージーに任せた。
「レイは一人のときどうしていたの?」
「鉄を焼いていたね」
「え? 鉄を?」
「そう。魔物は鉄が焼かれる臭いが嫌いなんだよ。もちろん、すべての魔物がそうではないけど、この辺の魔物は鉄が焼かれる臭いを嫌っているね」
「だからあんなところで暮らしてられていたのね」
まあ、家の後ろに鍛冶場があった。鉄が焼かれる臭いと鉄を打つ音で並みの魔物は近寄っても来なかったよ。少し離れたら別だけど。
「裏技として鉄の粉を火にくべるのもあるけど、臭いからあまりお勧めしないね」
オレは火や熱を操れる魔法を使えるから四方に鉄の棒を地面に刺して、熱することで野営していたよ。
「鉄を熱したらいいのね?」
「え? あーうん。そんなこと出来るの?」
「試してみるわ。鉄、あるかしら?」
念のために持って来た鉄の杭を四本、ジージーに渡した。
鉄の杭を手に持ち、なにか集中するような顔になると、ジージーの手に青白い稲妻が走った。ほわ?
鉄の杭が赤くなり、平然と地面に刺した。
「手、大丈夫なの?」
「大丈夫よ。プレントルが展開されているから」
まだない情報だな。そんなものを発生出来るんだ。ボクが思うよりサイボーグ具合が高いのかな?
渡した四本すべてを青白い稲妻で熱し、洞窟の外に三本刺した。
「これで魔物は近付かないかな?」
「さすがに朝までは無理だけど、鼻がいいのは逃げただろうね。センサーでわからない?」
「リオルームらしき熱源は逃げ出したわ。効果覿面ね」
その熱源センサーがあるなら鉄の杭、いらなくね?
「ただ、エネルギーを消費するからお腹空いたわ。肉、焼いても大丈夫?」
「リオルームが逃げたのなら肉食の魔物もなにかあると思って近付いて来ないと思うから大丈夫でしょう。絶対とは言えないけどさ」
「なら、気を付けるわ」
収納の鞄からクルーミーの肉を出して焚き火で焼き始めた。
「飽きないね~」
もう七、八匹は一人で食べてんじゃない? 普通、飽きるよ。ボクは飽きました。別の味を口の中に広げたいよ。
オレはパンにチーズを挟めたものを食べ、水で流し込んだ。早く町でいろんなものを食いたいよ。
ジージーは二匹をあっと言う間に食べ、腹が落ち着いたら横になった。
ボクはなにも言わず、焚き火に薪をくべて長い夜に備えた。ボクもたまには野営をしておかないと感覚が鈍るからだ。
前世の記憶があるからか、この過酷な世界に挫けそうになったことは何度もある。でも、ボクにはそれなりの力があったから慣れることが出来た。
まあ、戦闘に特化したチート能力はないので、ヒャッハーな毎日ではないが、生産職も悪くはない。こうして飢えることもないんだからな。
ジージーの寝息を聞きながら、今後の展開と予定をじっくり考えた。




