第15話 キャルス(銃)
朝になり、朝食を食べたら町に出発する。
ジージーは充分戦えるようだし、一般常識は歩きながら教えたらいい。あとは現地学習だ。
「この天気なら二日。ゆっくり歩いても三日だね」
ファンタジーワールドの道をナメたらいかん。ましてやボクが住むところまで道があるわけでもない。辛うじて枝を切り払った跡が残るだけだ。
ボクは帰らないといけないのでまた切り払いながら進み、疲れたらジージーと交代してもらった。
「道って大切なのがよくわかったわ」
「空に人工衛星があれば迷うこともないんだけどね。気の利いた人が発射してたりしない?」
「してたらこんなところを歩いてないわ」
そりゃごもっとも。
「ハァ~。体力より精神的に疲れるわね」
「まあ、仲間たちも町まで来てたらこんな道を歩くことも……あるか。仲間が町に来てるってことは移動手段がないか、隠しているかだしね。あるところまで歩くしかないか」
「そんな未来にならないことを願うわ」
願う、ね。宇宙に行ける科学力を持っても願うことがあるってことか。夢も希望もない未来だよ……。
「レイ。大きい熱源が急速に近付いて来るわ。一分で遭遇しそうよ。速い」
「速いか。リオルームかな?」
鹿のバケモノだ。ヘラジカくらいあり、縄張り意識が強い。下手な魔物でも襲う凶悪草食獣だ。
「危険なもの?」
「超危険だね。銃を使ったほうがいいかも。頭を狙って」
ジージーの腰には銃らしきものを装備している。トリガーがあるから遠距離武器なのは間違いないだろう。どんな威力かまでは想像出来ないが。ここでその威力を見せてくれるとありがたいです。
「仕方がないわね。キャルスがどこまで効果があるか知っておくべきか」
へー。キャルスって言うんだ。
「来るわ!」
腰からキャルスを抜くと、迷わずトリガーを引いた。
プッシュ! ってな音がしたと思ったらバチンッとなんか凄い音がした。な、なに!? なにが起こったの?!
「……今のがキャルスの攻撃なの……?」
「……え、ええ。生身に撃つとこんなエゲつない威力だったのね。的に当たるだけだったからわからなかったわ……」
ジージーが見る先には上半身を失くしたリオルームがいた。確かあいつ、頭がアホみたいに硬いって話じゃなかったっけ? てか、携帯武器の粋を脱してない?
いや、もしかするとシュルム(機動歩兵みたいなもの)を想定したものか? 強度の情報はないが、宇宙を飛んだりもする兵器。あのくらいの威力がないと破壊出来ないのかもしれんな……。
「ま、まあ、岩より硬い魔物もいるし、そういうのに撃つといいよ。リオルームくらいなら剣でも倒せるはずだからね」
ボクは無理だけどな。見つかる前にダッシュで逃げさせていただきます。




