第122話 エアバイク(フィービー)
ボクには夢がいくつかある。
その一つ。エアバイクに乗ること。タイヤのない空飛ぶバイク。それに乗るのが夢だったのだ。
「昔の資料にあったわ。ただ、プレア充填型だから一回で六百キロがやっとね」
グージーの単位からボクが勝手に変換しております。
「六百キロも飛べたら充分さ。人数分造れる?」
「大丈夫よ。材料は宇宙に散らばっているからね。足りなくなったら補給班に持って来てもらうわ」
本当に優秀だよな、フリゴ(3Dプリンター)って。金属片も加工してくれて溶接や結合までしてくれる。産業革命どころか宇宙世紀まで飛び越えそうだ。
ただ、ボクとしては魔法も組み込みたい。なんなら魔光炉で動く人型ロボットを造ってみたい。クソ! 夢は広がるばかりじゃないか! 寿命、足りるかな?
部品を組み合わせ、エリルと呼ばれるスプレー式フリゴでボディーカバーが造られる。これてプラスチックからゴムまで造られるんだから凄い技術だ。もうドラ○もんの世界だよ。
完成したエアバイク──フィービーに跨がった。
グージーの歴史では二百年も前の古い技術であり、誰も乗ったこともないものだった。
まあ、構造は単純。操作法も単純。バイクを運転したことあるボクには問題ナッシング。ただ、単純な故に搭乗者の腕に頼るものとなる。
「安定性、ワリ~!」
ジャイロセンサーとかないのかよ! 二百年前の技術でも造れたよな? 油断したら引っくり返るぞ! 今のはヤバかった。てか、ヤバい乗り物だよ!
「でも、それがいい!」
暴れ馬、多いに結構! お上品な乗り物など乗る価値もなし! すべてが搭乗者によるテクニック。乗りこなしてやるぜ!
やはり若い肉体はいい! 思うどおりに体が動いてくれる。若さ万歳!
さすがに一日でアクロバティックなことは出来ないが、普通に乗るくらいは出来るようになった。三十メートルくらいまでなら上昇も出来るようになった。さすがに森の中を飛ぶ勇気もテクニックもありません。
「わたしも乗りたい!」
ジージーも乗りたくなったようで、二台目はジージーのものとなった。
シャレインを操縦するよう調整されただけあってフィービーを数時間で乗りこなせるようになって、半日でアクロバティックな操作も出来るようになった。これが能力差か。DNA操作、おっそろしぃ~!
ボクも負けてはいられぬと、鉄を打つのも忘れてフィービーに夢中。だが、後悔はない。だって楽しいんだもの。SF万歳だ!
半日で一台を造り上げ、五日で人数分が完成。他の者も乗り始めて爆走族がこの世に生まれた──かどうかはわかりませ~ん!




