第121話 人間味
次の日の昼前にジールたちがやって来た。
「お疲れさん。疲れたでしょう。お風呂を沸かしておいたから入りなよ」
ビニール(かどうかはわからんけど)でお風呂を作り、水を溜めて沸かしておいたのだ。
「十人は入らないから順番でね」
ジールを混ぜて十人が調達班だ。ジージーは補佐みたいなものです。
お風呂に入ってもらったら冷やした葡萄酒を出した。
「これがお酒か! 不思議な味だね!」
「わたし、好きかも」
アルコールに強そうな体かと思ったら、大して耐性はなかった。飲まないからか? DNA操作しなかったのか? どんな流れがあってこうなったんだ?
ジージーたちには見た目にも内面的にも個性はある。だが、特筆した個性はまるでない。まるでモブキャラのように記憶に残らないのだ。
でも、取り残され、自分たちでなんとかしないとならないとわかってからは個々に色が付いてきたようにも思える。この変化はなんなんだろう? もしかして、管理されてたとかか?
それならアルレシアが残っているんだから管理されそうだが、仮にないとしたら管理するなにかが消えたってことになる。それは、また合流したときに働くのだろうか? それともバグとして処理されるんだろうか? 遥か未来のことながら心配で仕方がないよ……。
「レイ、どうしたの?」
「ん? ちょっとこれからのことを考えていただけだよ」
不安そうなジージーに笑ってみせた。
ボクの心配を語ったところでジージーたちに答えは出せない。いや、命令に従うしか道しかないだろう。ここで不安にさせても仕方がない。未来は成るようにしか成らんさ。
「ボクも入るか」
裸の付き合いは大事だ。一体感を出すためにもな。
大体は入ったが、年配の者が最後に入っている。下の者を纏めることを知っているんだろうな。
「地上も悪くないもんだね」
年配の者にも飛び抜けた個性はないが、長く生きた分だけ人間味が増している。やはり人間は積み重ねが大事なのがわかるよな。
「それなら今度、温泉に連れてってあげるよ。お風呂が気持ちいいと感じるなら温泉も大事だろうからね」
コンセントを体に差すタイプの進化ではない。電波的なもので通信しているので問題はないはずだ。シャワーだって浴びるし、こうして湯船にも入っているんだからな。
「オンセン?」
「星の熱でお湯になったものさ。大地の力がお湯に溶けて体を癒してくれるのさ。有機体なら効果はあるはずさ。ダメなら君たちの脳が拒否するはずだ」
五感から危険を察知するプログラムが組み込まれているとは言っていた。なら、温泉成分からもわかるはずだ。
「湯上がりによく冷えたお酒や家畜の乳を飲むのが最高なんだよ」
葡萄酒を飲んでいる若い子たちを見た。よほど葡萄酒が気に入ったようだ。
「蒸留器でも作るか」
ジールなら仕組みさえ教えれば造ってくれるだろう。エンジニアみたいなもだからな……。




