第117話 超光速航法(アリフ)
最終シーケンスを得て、アルレシアが飛び立つときが来た。
全員がアルレシアに乗っているわけではない。万が一のときのためにシャレインはすべて降ろし、整備班も何班か降ろした。
ボクも艦橋で見ていたかったが、残った者たちと地上で見守るようマルシアから指示されてしまった。これも万が一の備えだろう。この星の協力者は必要だからな。
爆発の恐れがあるので、島の山まで離れている。
ここには通信塔を建てたので、今後、地上基地として使う予定だ。
連絡用のシャトルを本部とし、ボクは外でアルレシアの様子を眺めている。
地上の重力を振り切るために反重力炉を全開まで高めているからか、景色が歪んでいる。近くの木々が潰されているのも見えた。
「アルレシアの反重力炉であれなら、ルクセルの重力兵器ってどんなだったんだ?」
「とんでもなかったわ。超光速航法を完全に封じられて、空間が裂けたのかと思ったわ」
ジージーが当時のことを語ってくれたが、その知識がないボクにはでちんぷんかんぷん。専門用語の羅列でしかなかった。
ただまあ、その威力はブラックホール級のものだったことは想像出来た。そんなものが起きたら空間が裂けても不思議ではないだろうよ。
「でも、そんなところに戻っても大丈夫なものなの? そう簡単に重力嵐は消えたりしないでしょうに」
「最新鋭艦なら問題ないかもね」
そう言ったのはライク。少し前までその最新鋭艦に乗っていたそうだ。
「アラベルクの反重力炉はアルレシアの三倍。探査艦でもあるから重力嵐から逃れられるかもしれないね」
まあ、アルシースと繋がっているのだから逃げたのは確かだろうよ。
「浮いたよ!」
意識をアルレシアに向けるど、船体が浮いていた。
いくつもある噴射口から炎が噴き出され、徐々に船体が上昇して行った。
「やっぱ、姿勢制御の噴射だけじゃ足りないね」
「でも、確実に上昇はしています。これなら行けますよ!」
二百か三百メートルくらい上昇したら船尾から青白い炎が噴き出された。
「動力機関も問題なさそうだ」
主噴射は二つ。副噴射は四つ。ここからだとわからいが、副噴射が炎を出しているんだろう。主噴射は宇宙空間で使うようなものだからな。
「動いた!」
ゆっくりと前進して、艦首が上を向いて行く。
炎の勢いも高まり、さらにさらに空へと向かっている。
映画とはやはり違う音が全身を打ち、質感が目を刺激する。それを見れる幸運に興奮した。
「飛べ! アルレシア!」
思わず叫んでしまった。
「行け!」
「飛んで!」
地上に残った者たちも叫び始めた。
ボクたちの応援に呼応してくれるように宇宙へと昇って行き、やがて煙だけが残った。
長い沈黙が続き、アルレシアから通信が入った。
「レイ。問題なく宇宙に出た」
マルシアからの報告に、全員で喜んだ。
「……第一関門突破だな……」
あといくつ関門があるかわからないが、とりあえずは成功を喜ぶとしよう。
おっしゃぁぁぁぁぁっ!!




