第116話 発進前夜
見た目はロリでも能力は高かった。でも、艦長席に座る姿は愛らしかった。
ロリ趣向はないが、可愛いものは好きだ。撫で撫でしたくなる。
「発進手順、問題なし!」
「反重力炉、安定値を維持しています!」
「プレア率、異常なし! 充填漏れ、ありません!」
反重力炉も動力機関も完璧に仕上げた。問題はない。
緊迫している発進シーケンス。もう五度目だが、それでも不安になる自分がいる。
これがどこかの充実した基地からの発進ならこれほど不安になることもないんだろうが、どこからのサポートはない。重力のある星に不時着したのだ、どこかに無理が働いていても不思議ではない。
「よし。反重力炉を半減まで低下。最終確認後、発進する。六時間の休憩とする」
ロリっ娘艦長の命令に艦橋員たちがほっとする。ちゃんと兵員の心身を守る体制はあるんだな。
ボクも部屋に──戻るのは面倒なので、副艦長室で休ませてもらった。
艦長室でも休んだが、艦長だからといい部屋が与えられるわけでもない。六畳ほどの部屋にベッドとシャワーが付いているだけ。前艦長の私物も大してなかった。まったく、なにが楽しくて高い地位にいるのかわからんよな。なんの旨味もないじゃないか。酒の一つでも置いてて欲しかったよ。
副艦長室も同じで、私物はあまりなかった。ただ、古びたオルゴール見たいなのがあった。
「宝物だったろうに」
私物を持って行けないくらい急だったのだろうよ。
蓋を開けると、優しい音色が流れ出した。
その音色を聴きながら眠りに付き、三時間くらいで目覚めてしまった。
「まだ鳴っているよ」
蓋を閉めて、艦橋に向かうと、マルシアが艦長席に座っていた。
「眠れなかったの?」
「ああ。緊張してな」
緊張するものなんだ。案外、ナイーブなのかな?
「お茶でも飲んでみる? 体に影響はないはずだ。何人か飲んだからね」
「この星のか。飲ませてくれ。我々のところではお茶は嗜好品だからな。わたしでもなかなか飲めたものじゃないんだ」
お茶が嗜好品とはね。嫌な時代だよ。
収納の鞄からお茶の道具を出して淹れてあげた。お味は如何かな?
「美味いな。これは、手に入れられるものなのか?」
「簡単に手に入れられるものさ。しばらくここにいなくちゃならないんだからいろんなお茶を飲んでみるといい。シャレインがあるなら簡単に手に入れられるからね」
技術力の他に移動手段も千年先を行っている。金を稼ぐ方法などいくらでもあるってものだ。
「そうか。そう悪いことばかりではないのだな」
「そうそう。本隊と合流するために食糧を手に入れなければならない。そこにお茶があったところで軍規には反しない。我々は生き残るために動き、本隊と合流した、って事実を作れば上も文句は言わないさ」
本隊とはぐれた場合は早急に合流する、ってのがあるらしい。なら、すべての行動は軍規に乗っ取っていることになる。まともな軍隊なら罰せられることもないはずだ。
仮にまともじゃないのなら生きるめに戦えだ。死にたくないのならな。




