第114話 重圧
マルシアの瞼が開いた。
グージーは髪の色も瞳の色も多彩だよね。製作者の趣味か?
「第四戦闘位アルジブ艦長マルシア24。意識の感度は如何で?」
「……まだはっきりしない。なにがあったのだ?」
「記憶障害か。少しお待ちを」
キーボードを叩いてなにかを調整するハール。やっていることはマッドサイエンティストだな……。
「どうです?」
「ああ、よくなった。そうか我が艦隊は敗れたのか……」
焦燥したように下を向いたが、すぐに顔を上げてボクを見た。
「現地生命体か。我々とそう変わらないのだな」
「宇宙は広いからね。見た目が同じってこともあるさ。それか、遥か昔に別れてしまった同種かもしれないね」
「それはないわ。種族生命コードは別な存在を示しているからね」
「なら、ボクたちが出会ったのは奇跡だね」
「……奇跡か。本当にそんなものがあるんだな……」
まあ、ファンタジーな世界なら割りとよくあるんじゃない? 奇跡が集まって出来たような世界だしさ。
「奇跡にしろ実力にしろ、これでアルレシアを任せられるよ。艦長代理をマルシアに譲渡する。残存兵の指揮を頼む」
「……わかった。受理しよう。ハール、確認署名を頼む」
マルシアは断らない、いや、断れないのか? 艦長クラスは?
「ええ、わかったわ。ほんと、あなたが生き残ってくれてよかったわ。わたしでは残りを滅ぼすだけだったからね」
仲間を助ける治療班なのにな。まっ、戦闘と治療は違うってことだ。比べたら悪いか。ごめんよ。
「艦長と合流出来るというのは本当なのか?」
「その可能性があるってだけ。やるやらないはマルシア艦長代理に任せるよ。ボクが帰るわけじゃないんだからね」
ボクとしては残って欲しいが、帰るとしても何年かはいなくてはならないのだからボクにとっては大収穫ものだ。SFが落ちて来なければ手に入れられないものばかりなんだからな。
「……帰れるのならその可能性に賭けたい。我らの役目はルクセルに勝利することなのだから……」
「あ、そのルクセル、この星に落ちて来ているよ。数はわからないけど。その辺はどうするつもり?」
「いるのか!? ルクセルが?!」
「そのルクセルの重力兵器と戦っていたんでしょう。なら、一緒に落ちて来ても不思議じゃないでしょう。お互い、孤立無援。補給はなし。使い切ったら終了。仲間の下に帰るなんてことは永遠にない。それが今の状況。お互いの状況。この問題をどうするかがマルシアの肩に掛かっている」
勝利する。それはそうだろう。戦争をしているのだから。しかし、今はどう勝利するかが問われている。戦略が求められている。戦術しか知らないようなマルシアにどこまで出来るだろうね……?




