第112話 ノーマ6 艦橋班
その日から敬礼が増えた──ってこともなく、皆は命令に従って動いていた。
命令があればよけいなことは考えず、迅速に、確実に動く。ボクはまだSFをわかっていなかったんだな~。人間ではなく兵士なのだ。
これはもう仕方がないんだろう。そう生み落とされて、そう使われて生きて来た。DNAか洗脳か、いや、どちらもなんだろうよ。
反重力炉を直し、整備班のプログラマー的な者たちが、自爆装置が起動しないよう信号を遮断。一部機器を取り払って完全に自爆出来ないようにした。
「しかし、見事不時着させた操舵士を残して行くとはね」
彼女の名前はノーマ6。艦橋班で第七戦闘位。アルレシアの運命を握る者としては地位が低くないか? 第五、いや、第四戦闘位は与えてもいいんじゃないの? そうすれば艦長代理を決めるのも楽だったろうに。
「戦艦の操舵士は上官の命令には逆らえないで。独自の判断も出来ません。わたし程度の操舵士はいくらでもいますよ」
本当か? あの不時着具合を見たらかなり腕がいいとわかる。グージーはどんな評価基準なのよ?
「でもまあ、艦橋員が残っててくれてよかったよ。技術だけは今日明日で身に付くものじゃないからね」
それは宇宙に出ても同じ。なんでも出来るヤツはいないってことだ。
「まあ、八度の大戦を乗り越えたのが自慢です」
下位の者は人間性が強く残っている。これもまたおもしろいよな。話すと普通の女の子なのだ。ってまあ、ノーマくらいになると女の子と言っていいのかはわからんけどね!
「宇宙はどう? 自軍の反応はある?」
「大破した戦艦から救難信号を受信したくらいです。脱出ポッドも百くらいあります」
「シャレイン隊は動いているんだよね?」
「ええ。ただ、数が多すぎて回収に手間取っているわ」
艦橋員は全員が第七戦闘位。十七人で回しているそうだよ。ちなみにここは第一艦橋。第二、第三とあるそうだ。そこにいる者も連れてってもらえなかったよ。まあ、第一艦橋以外は第八戦闘位だそうだから当然と言えば当然なんだけどな。
「生きているなら回収を急いで。今は数が欲しい。事故を起こさない程度に努力して」
なんかもうボクが艦長になっているが、ハールはダメだ。医療のこと以外、全然ダメ。判断しないのだ。たぶん、処世術なのだろう。長いこと生きているから自然と学んで実行しているんだろうよ。
「プレアの充填率は?」
「やっと三十と言ったところです」
アルレシアが壊れないようにするにはゆっくりとプレアを溜めないといけないのだ。
「船体に負荷が掛からないよう注意して」
ボクとしては機関部に戻りたいが、ここに指揮官がいないと上手く動いてくれないのよね……。




