第109話 希望もある
「助かるよ」
疲れた様子のジーニーがやって来て感謝された。なにが?
「整備班の連中を静めてくれてだよ。下の者たちは上に切り捨てられた経験がないからね」
「ジーニーはあるんだ」
「何回もね。わたしらは使い捨て。戦いが終わって回収された者だけが次も戦えるのさ」
なんの罰ゲームなんだ? 生きて戦えることがご褒美みたいなものじゃないか。いや、グージー側ではそれが正義なんだろうな……。
「回収されるわけ?」
「どうだろうね? レイは来ると思うかい?」
「その確率はかなり低いと思う。まず、ジーニーたちの宇宙とこの宇宙が繋がっているかもわからない。違っていたら光の速さでもどんな超光速航法でもグージー側の技術では不可能だろうね」
宇宙が一緒なら艦長たちも下を見捨てるなんてことはなかっただろうよ。
「そうか。そんな勘はしていたよ」
何度となく回収された経験が今回は無理だと言っているんだろうな。
「仲間のところに戻りたい?」
まだ食堂には整備班の面々がいるからボクたちの会話に耳を傾けていた。上位のジーニーの言葉はとても重いだろうよ。
「……正直、わからない。わたしらは回収されるのを待つしか出来ないからね」
命令系統がしっかりしていると自分で考えることも、決断することも出来ない。ほんと、使い捨てすぎるな……。
「もし、帰れる可能性があると言ったらどうする?」
「あるのか!?」
ガバッとボクの両腕を握り締めた。ボクじゃなかったら骨折れているからね。
「あくまでも可能性。必ずとは言えないものだ」
ボクも出来んじゃね? くらいのものだ。でも、可能性があるなら仕込みたくなるのがそれなりの科学技術がある世界から転生した者の性だろう。
「この星にはね、転移魔法ってものがある。かなり高度な技術ではあるが、星の裏側でも一瞬で行けたりする。それは空間を操るもので次元を飛び越えるものだ」
「レイはそれが使えるのか?」
「使えない。高度な技術だからね。でも、空間と空間を繋ぐことは出来る」
収納の鞄から金属の箱を取り出した。
「この箱は、アルシースの機関部と繋がっていいる。ボクがルービーたちと出会ったときに仕掛けた。どうも人を裏切りそうな顔をていたからね」
おもしろいものだよね。命令には逆らえないのに人を騙すようなことは出来る。得にルービーはそれが顔に出ていた。まあ、騙すのは仲間に向けたものだからボクに簡単に見破られるんだけどな。
「この箱とアルシースは繋がっている。つまり、別の宇宙にも行ける道理ってわけさ」
ファンタジーは十二分にSFに対抗出来るってことだ。




