第102話 ビール飲みてぇ~
な、直った。雷菅口と雷菅が直った。
「……過程は見てたのに、直ることが信じられないわ……」
ライクが信じられないと綺麗になった湾曲を撫でていた。
班長クラスは五十年くらいのちょーベテラン。半世紀も機械を弄って来たからこそ受け入れられないのだろう。あ、ボクの中ででぇーのほうが上ですから。
「ライク! いつまでも呆けてんじゃないよ。ここからはあたしらの仕事だよ!」
さすがに回路系や運転準備はボクは手を出せない。次は是非とも習いたいものだ。
まだ女の子を維持しているので、ライクたち整備班の働きを見学させてもらった。
「予備プレアを流すよ! 数値の見逃しはしないように!」
ライクの指揮で各種回路経路にプレアを流して様子を確認する。
「ルークス五番から二十八番まで出力が落ちているぞ!」
「ラクズ四番もダメです!」
「出力上がりません!」
なにを言っているかもなにをしているかもわからないが、不時着して、一度停止したものを動かすのは大変ってことは知っている。それは宇宙に出れる技術を持ってしても変わらないんだな~。
「一旦停止! 初期プロプからやり直しだ!」
まったくチンプンカンプンなのでお暇させてもらった。
「外の空気でも吸ってくるか」
もう長いこと外に出てない。新鮮な空気を吸って気持ちを切り替えるとしよう。
携帯端末を見ながら外を目指していると、乗組員たちがなにやら騒がしくしていた。
「なんだ?」
騒がしくはしているが、緊急ではないようなので構わず先を進み、やっとこさ外に出れた。
元々気軽に外に出るような造りではないので、四百メートルくらいは歩いたり昇ったり降りたりしたよ。ハァー。
「この移動、体力うんぬんじゃないんだよな~」
一日十キロ二十キロ歩いたことはある。それだけの体力もある。だけど、外に出るまで手間が掛かるとなるとストレスになってしまうのだ。
「あー! 空気が美味い!」
外と言っても左右にはシャレイン等の格納庫や着陸甲板がある。そこに行くまでも一苦労なので、今回は上部甲板から外に出てみた。
「戦闘機が飛んでるな」
大気圏外専用と聞いたのに、なんで飛んでいるんだ? 改造したのかな?
一機だけなので試験飛行なのかもしれない。シャレインや戦闘機の整備班は八班あるとか言ってたからな。
「シャレインは宇宙かな?」
収納の鞄から金属製のカップとお茶葉を出し、お茶を淹れた。
「冷えたビールが飲みいな~」
生温いエールが死ぬほど不味くて挫折してしまった経験がある。整備班の技術力があるなら美味いビールとか作れないかな? いや、ブランデーとかウイスキーでも構わない。炭酸水も出来たらアル中まっしぐらだ。
「あービール飲みてぇ~」




