第100話 どう転がるかは誰にもわからない
腹が膨れると、自分が人間であること思い出した。
「他の兵士はなにしてんの?」
眠気覚ましのコーヒーに似たものがグージーにはあった。まあ、コーヒーみたいなものであってコーヒーの味はしないけどね。
……食事は大切な文化だと感じる味だ……。
「飛ばせるシャレインは宇宙に出ているそうよ。どうも重力値がおかしいみたい」
「元の宇宙に繋がってたりとか?」
ワームホールだかなんだかがまだ空いているから重力値がおかしいんじゃね?
「……そんなウワサが上がっていたわ……」
何百年と経とうが人である限り、ウワサってのはなくならないものなんだな~。
「そっか~。そんな不思議もあるんだね~。帰るならシャレインは置いてって欲しいものだ」
エネルギーが切れるまでに世界を見て回りたいし、宇宙も飛んでみたい。SFを楽しみたいものだ。
「レイはいいの?」
「なにが?」
「わたしたちがいなくなることよ!」
「それは仕方がないでしょう。元々、戦線復帰を目指しているんだから。ボクにどうこう言う資格はないよ。それに、まだアルレシアが飛べるともわからない。宇宙戦艦が重力を振り切って飛び立つって大変そうだからね」
アルレシアの構造を教えてもらったが、重力炉が完全に動かないと飛び立てないんじゃないかと感じている。てか、起動できるのかな? 残りのプレアで?
ボクとしては怪しいと思っている。艦長や上層部がまったく視察に来ないのだ。なにかやましいことがあるから隠しているんだろうよ。
「ボクとしてはジージーに残って欲しいな。どうせ戦線復帰してもまた戦いの日々なんだしさ。戦死扱いしてこの星で生きたらいいと思うよ」
どうせまたここに戻っては来れないんだ。敵前逃亡しても罰せられることはないだろうよ。上も一兵士のために戻って来ようとは思わんだろうしね。
「…………」
まあ、残るとは言えないよな。そんなこと考えることもなかっただろうから。
「ボクもすべてを捨てて一緒に付いて行く、なんてことも出来ない。ボクはグージーで生まれたわけでもない。異物で異質だ。受け入れられることはないだろうからね」
今は緊急で、超法規的処置ってことなんだろう。なにも干渉して来ないのがいい証拠だ。艦長たちにしたらボクは都合のいい道具でしかないのだ。
「ただまあ、考えておくのは大事だよ。まだどう転がるかわからない状況だからね」
得てしてこんな状況では悪いほうに転がるってのがお約束。最悪な状況になると考えて、覚悟を決めておきましょう、だ。
「……わかった……」
なんか日に日に幼くなっているジージーを抱き締めて、優しく背中を叩いた。




