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終末世界、AIと生きる  作者: 雛月 みしろ
1章:”シエスタ”
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南a-3地区:工場跡 管理棟

 南a-3地区:工場跡 管理棟

「……ようやく着いた」

雨の中の移動って長く感じるのは私だけだろうか?傘を入り口に置き建物に入っていく。

「“シエスタ”お待たせ」

『こんにちは。“ユラ”様。自動車の整備、安全確認完了しています。すぐに向かわれますか?』

特に問題はなかったようだ。もしこれで問題があって『また明日に』はさすがにつらかったからよかった。

「いや、静岡工場の事を聞きたいからすぐはいいかな」

『わかりました。どのようなことが知りたいのですか?』

「静岡工場の“フジ”はあなた同じ“榛名型”?」

静岡工場の被害状況が不明だから“フジ”が損傷している可能性がある。同じ“榛名型”だったら“ルシエラ”の予備部品が使える。少なくなってきたとはいえ持っていくしかない。

『はい。同じ“榛名型”です』

良かった。“最上型”だったら修理できなかった可能性があったからこれで最悪の場合は避けられた。

「ありがとう。静岡工場で気を付けるところってある?」

『いえ。特にはありません』

ということはあの光の影響で脆くなったところだけ気を付ければいいかな?生存者がいそうなところも聞いておこう。

「わかった。もし、生存者がいるとしたら可能性がある場所はある?」

『管理棟が一番可能性があります。管理棟は他の建物と違い丈夫にできています。また非常用の備蓄庫からも近いことから災害時は管理棟に避難するように訓練が行われています』

「ありがとう。聞きたいことも聞けたしこれで……“シエスタ”静岡工場でやってほしいことある?」

一番の目的は“ルシエラ”と“シエスタ”の部品の確保だけど他にもやらないといけないことがあるなら一気に終わらせたい。

『いえ、ありません。部品の調達ができれば大丈夫です』

「わかった。静岡工場と“フジ”の調査と必要であれば修理をするから次ここに来るのは10日後くらいかな?帰ってきたらすぐに報告に来るね」

『わかりました。整備用ロボットは登録情報にある座標に輸送しておきますね。それでは自動車を駐車している場所まで案内させますね。お気をつけていってらっしゃいませ』

“シエスタ”のもとを離れ、整備用ロボットについていく。用意された車を見て私は驚いた。どうやらここで作られていた自動車はハイグレードモデルやキャンピングカーだったようだ。

「ふふ、嬉しい誤算」

つい漏れてしまったが本当に嬉しい誤算だ。しかも改造が施されていてキャンピングカーみたいになっている。

「“シエスタ”にありがとうって伝えておいて」

私を案内したロボットから鍵を受け取り、そう伝え車に乗り込む。一般的な電子ロックではなく非常用の物理キーへの仕様変更理由はおそらく物資が少ない今、故障確率が低く、パーツに余裕がある物理キーの方が長期間使えると判断したんだろう。補助AIの自動運転は切ってある。もちろん今の状況では自動運転は不要……というか使用不可だから無用の長物。本当に現状に特化した仕様になっているのは嬉しい。これは遠方の調査もしやすくなった。部品の確保ができたら富山にでも行こうかな?そんなことを考えながらしばらく内装を堪能した。

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