8.ヒューレンはお勉強中2
❲魔法の使い方❳
魔法にはそれぞれ決められた呪文があり、呪文を詠唱することで魔法が発動する。魔法の発動には魔力が必要で、消費する魔力の量はその魔法の威力に左右される。
❲魔力とは❳
体力とは別に生物が持つエネルギー。体力と同じく食べ物から作られる。魔力からできる魔素を別の物質に変化させる技術を『魔法』という。
❲超越者とは?❳
神に与えられた試練を乗り越え、神に認められた者が『進化』する『人間』の上位種。進化の際に何らかの称号を与えられる。
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こんなものかな、今の時点で分かる魔法に関する情報はこんなものかな。今日まですごく長かったような短かったような、でもやはり魔法について調べる時間はとても新鮮で楽しかった。
さあ、今日はもう疲れた。さっさと眠ってしまおう。
「お休み・・・」
・・・・・・・・・ん〜。
「どうしよう、目が冴えて眠れない・・・」
どうやら思ったより遅い時間だったようで、気付かないうちに目が冴えきっていたようだ。うわ〜、明日どうしよう・・・。
次の日、寝不足で疲れ切った顔を見た母さんにすごく心配され、僕は余計に疲れる始末だった。
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と、なんやかんやあって気づけばもうこの世界に来て3ヶ月が経ち、僕ヒューレンは・・・晴れて9歳になりました!
この世界でも誕生日の文化はあるようで、今日の夕飯はとても豪華だ。
色とりどりの野菜盛りに、出汁の香り漂うスープ、更には肉料理まで、バリエーション豊かな料理に舌鼓を打たずにはいられない。母さんが腕を振るってくれた。
「今日は奮発しちゃった!今日まで節約した甲斐があったわ。さぁ、お待ちかねのご馳走の時間よ。」
「わ〜い!いっただっきまぁす!」
「はい、召し上がれ!」
もう、三ヶ月も子どものフリをしている、もはやこの演技をする事にも抵抗が無くなった。
まぁ今は、この目の前のご馳走を堪能するとしよう。
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ご馳走を食べていると、時間はあっという間に過ぎていくように感じる。
特に肉があるのは良かった。肉が嫌いな人なんていないよね。(いたらスミマセン)
「さぁ、お待ちかねの誕生日ケーキよ。お部屋のランプを消して。」
「は〜い!」
部屋のランプを消して行く。部屋の光源は魔力を利用して光る「魔石ランプ」だ。
因みに『魔石』とは、生物の持つ魔力が死亡時に結晶化した物で、空気中の魔力を吸収する働きがある。そのため、半永久的に光り続ける。
暗い部屋で光るロウソクの炎に照らされてケーキと母さんの顔がぼんやりと浮かび上がる。その光景に静かな歓喜を胸に秘める自分に気づいた。