68転換点3
「そろそろ上がりましょうか」
「おうよ、長風呂は体に毒だからな」
名残惜しいが、リュークさんの言う通り長風呂は一定のリラックス効果をもたらす反面、のぼせるのはもちろん脱水症状や心臓や肺に負担がかかるなどデメリットも大きい。
果てには寝つきが悪くなり疲れが取れなくなる。体が売りで一切気が抜けない冒険者にとっては致命的なデメリットとなる。
体を拭き、変えの服を着てから廊下を歩いていく。
「どうやらリュークはヒューレンくんのことが気に入ったようですね」
「そのようだね。何のためかは知らないが2人は馬が合うみたいだ。しかしリュークか…、僕は君とヒューレンは気が合うんじゃないかと思っていたんだけどねユーバー」
「ヒューレン君の奥底の何かがリュークと響いたのでしょうか?人の心というのは複雑に絡み合った糸のような物ですからね」
複雑に絡み合った糸ね…、上手いこと言うものだ。知ろうとすればするほど見えてくるのはより複雑に絡み合った糸だけ…。
誰かが言った。人と人がお互いを真に理解できる時は永遠に訪れないと…。人とは、とても悲しい生き物だなとつくづく思う。
しばらくするとフードコートのような部屋に出る。どうやら浴場から出てくる人の中に髪が濡れていない人がいたのはここで談笑したり夕食を摂っていたかららしい。
中はたくさんの利用客で賑わい、酒を交わして語り合ったり、軽食を摂りつつ談笑したり、はたまた単に雑談したりする人たちで埋め尽くされていた。
マギー先生が適当に軽食を買い、僕らは机を囲む。
「そういえば、今日は女性陣も一緒なのかな?」
「ええ、ここで明日のことを話し合うつもりでしたから」
「そうか、じゃあその話し合いにこのヒューレンもご一緒していいかな?」
「てこたぁ何だ?」
「できればヒューレンを明日の仕事に同行させたいが、それは女性陣が来てから決めようかと思う」
確かに、ユーバーさん達なら初仕事でも安心だ。
「確かにこの件はパーティー全員の立ち会いの下で話し合った方がいいでしょうがそれ以前に…」
「もちろん大歓迎だが、まだ10歳の子どもを連れてくってのはちょっとな…」
「まあ、それは後々詳しく説明するから取り敢えず全員集合するまで待つとしよう」




