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60.拳で告げる

 スミマセン、リアルが忙しくなってしまってしばらくこちらに手がつけられませんでした。本当に申し訳ありません。


 しかしこれでバトルシーンは終わりなので通常の投稿ペースに戻せます。


 そしてこの話は第一章(長ぇ)の前半後半の区切りとなっておりますので2000文字超えでお送りします。最後の一撃の描写もこだわりました、個人的にはまあまあの出来になったと思います。


 それでは第60話、お楽しみください!!

 ついに魔物の群れが視認できる距離まで接近した。E〜Dランクの魔物の集まりだ。


「わかった。だが、ヒューレン。くれぐれも選択を誤るなよ。」


 先生は近づいてくる魔物を目にして、僕でも倒せないことはないと踏んだようだ。


 僕は小さく頷き、魔物たちに注意を向けた。


「ルナ!」


「(!)」


 ルナは大きく身震いし、触手を弾丸の如き速さで伸ばす。


 Eランクの魔物たちは心臓を、あるいは眉間を貫かれ、即死する。


「エレメンタルバースト!!!」


 僕も負けじと、Dランクの魔物にエレメンタルバーストを浴びせる。


 Eランクの魔物はルナが触手で倒すのでもうほとんど倒れたが、トレント含めDランクの魔物は僕が倒しているためなかなか数が減らない。


 加えて、


ズガーン!


「クッ‼︎」


 注意を分散させることができたブラッドオーガが猛攻を加えてくる。


「…ッ‼︎」


 傷口からの腐敗も進行中、生きたまま体が腐っていく感覚は…極めて不快だ。


 ブラッドオーガに注意を向けると、心なしか薄ら笑いを浮かべているようにも見える。無性に腹が立つ。


 だが僕の体はすでに満身創痍。下手に動けば最悪な結果を招く可能性だって十分あり得る。


 もう手札は尽きた。万事休すか…


 自分は窮地に立たされているのだと改めて悟り、僕は瞬きをした。


シュー…ババババッ バァン!


「…は⁉︎」


 次の瞬間、僕は視界にありえない光景を捉えた。


 ルナの触手が青白く輝き、Dランクの魔物たちの胸に触れ、魔物の胸に穴が空いたのだ。


 だが考えている暇はない。再び魔物の群れに向き直り、バーストを放つ。


「まただ…」


 バーストを放つ直前、ルナの触手が分散、魔物達の体に触れ、触手は青白く輝く。


 凄まじい風圧と共に魔物の体に風穴が空き、崩れ落ちた。


 どういう理屈か、ルナの触手にバーストの発生源を移植できるようだ。


 そうか


 手にまとわりつくルナに視線を送る、ルナが触手を変形させてグーサインをして見せた。


 それを合図にでたらめにバーストを放っていく。まもなくDランクの魔物も全滅した。


「…さてと」ザッ…


「ウゥ…」


 敵はあと残すところ一体のみ。ブラッドオーガに向き直り、圧を飛ばす。


「グオォォォ!!!」


 ブラッドオーガが雄叫びを上げる。最後の足掻きか…。


 ドスドスドス…バキバキィィ!!!!!


 木がへし折られ、視界の両端から2体の巨大な影が出現する。2つの赤い目が一際目立つ。


…ブラッドオーガだ


「「グォォォォォ!!!!!」」


「フッ、ハッ!」


 めちゃくちゃ動きが遅い、魔法が使えないとこんなものなのか…残念だ。


 2体で上手く連携して攻撃するが、空中ひねり、バク宙で余裕で回避できる。こちらも疲れているので早めに討伐したい。


「エレメンタルバースト!」


 魔法を使えない個体にはエレメンタルバーストがどの程度効くのか試したいと思い、バーストを放つ。ありったけの魔力を込めて。


ドッ…バァァァァァ!!!!!


 青白い光が視界を覆い、バキバキと枝が折れる音がする。


 風圧のあまり、僕とルナも後ろに吹き飛ばされたが、なんとか着地した。


 次に目にしたのは、あのオーガ達よろしく上半身が消えたブラッドオーガと葉がむしり取られたような淋しい木の姿だった。


「―!」


 それを見たブラッドオーガが何かを唱え始める。


「ッさせるか!!!

    エレメンタルバースト!!!」


 高速で接近し、ブラッドオーガに超至近距離でバーストを浴びせようと試みる。だが…


キィン…


 ブラッドオーガは障壁を展開する。間に合わなかった。これでは倒せるかどうかわからない。


 青白い光が手から漏れ出し、膨張する。


「!!!」


 急にルナが光出し、ルナの中の光が僕の手に集まる。そして次の瞬間…


パリィィィン!!!


 バーストの威力でバリアが割れる。


 だが、バリアは重ね掛けされており、割れたバリアのしたからまた新たなバリアが現れた。


 しかしそれもバーストの余波で割れていく。そしてバリアは最後の一枚になる。


イケる!フルスロットルで決める!


「喰らえぇぇぇぇ!!!!!」


 拳を握り締め、体を捻る。魔力、全開!


 ありったけの魔力を手に集中させる。腕が青白く光り、魔力が筋となって見える。だが…


ビキッ…バリバリバリバリ!!!


「グッ…ガハァッ…」


 腕に現れた光の筋が突然強く輝いたと思えば腕が破裂し、内側の肉が外気に触れる。


 …痛い…だが、それだけだ。


 今ここでブラッドオーガに殺されるよりは遥かにマシだ。


 肘あたりから皮膚が裂け始め、あっという間に手まで到達する。そして腕自体が青白く光り輝く。僕は喉が張り裂けるほど大声で叫んだ。


「エレメンタル…バーストォ!!!!!」


 ついに手の皮膚が裂け、光は手に集中する。手が眩しすぎて見えないほどの輝きを放ち、大爆発が巻き起こった。


 ルナが咄嗟に薄く広がり、バーストの威力を吸収した。


 地面が大きく窪み、木々は幹からへし折れ吹き飛ぶ。根っこを露わにし、倒れ込む。


 バリアには細かくヒビが入り、粉々に砕け散った。


 ブラッドオーガの腹部が吹き飛び、大穴が空き、後ろに凄まじいスピードで吹き飛ぶ。


 土埃と轟音をあげて、木々をへし折り薙ぎ倒し、巨大な弾丸のように森を貫く。


「ハァ…ハァ…勝っ…た…」


 今この瞬間、勝利を確信した。頭が朦朧とする。もう何も考えたくない。


 拳を突き上げ、勝利を告げ、例の如く地面に倒れ伏した。

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