5.無能の烙印2
「ここに、あなたが魔法を使えるか、そしてあなたが授かったスキルについて書かれているわ。」
この世界では皆5歳になったときに『托授の儀』を受ける。そこで神様に魔法天才とスキルを授けられる。
この世界では、魔法天才を持たなければ魔法を使うことは出来ない。
母さんはその紙に書かれた内容を僕に簡単に伝えてくれた。
「ヒューレン、貴方は魔法天才を与えられなかった。つまり、…貴方は魔法を扱うことはできないわ。そして、あなたが授かったスキルは…【スライムマスター】よ。」
僕は魔法を使えないらしい。そして、肝心のスキル【スライムマスター】についてだが、簡単に要約すると、
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スキル【スライムマスター】
発動時の効果
・❲鑑定❳
スライムの個体情報を鑑定可能。
・❲従魔契約❳
スライムを一体のみ従魔に出来る。
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ということだ。つまり、このスキルはスライムを使役するためのスキルだということだ。この世界でスライムは最も程度の低い存在とされている。
つまり、このスキルはほぼ使い物にならないと思っていいだろう。そして、僕は魔法が使えない、この事が指し示すことはただ一つ。この世界で僕は『無能』だということだ。
母さんは、紙の内容を嗚咽の混じった声で読んでいたが、紙を読んでしまった途端、声を上げて泣き、僕を抱きしめた。
「ごめんなさいヒューレン、あなたをこんな境遇にしてしまったのに、ヒグッ…満足した生活もさせてあげられなくて…」
母さんが泣いている姿を僕は見てられなかった。母さんは何も悪くなんか無いのに泣いているのが気に食わない。
「泣かないでよ!母さんは何も悪くなんか無い。それに、魔法が使えないからって、まともなスキルが無いからって、諦めちゃ人生そこで終わりなんだよ…。
なら、僕は諦めずにひたすら前だけを見て生きる。明日の方を見てひたすら走り続ける。開けない夜なんてないんだよ。
…ごめん、母さん、ちょっと言い過ぎた。」
「グスンッ…いえ、いいのよ。あなたが前を向こうとしているのに、私は駄目な母さんね。」
「いや、母さんは…なにも悪くなんか…無い。」
「いいのよ、慰めなんか親にするものじゃないわよ。私は、あなたが前を向いて生きていけるようにサポートするわ。」
「…ありがとう、母さん。」
母さんはもう一度、僕を強く抱きしめた。僕も母さんを抱き返した。
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ただ今『今年一年でブックマーク100人以上』を目標にしています。よろしければ、ブックマーク、高評価つけて頂けたらモチベ爆上がりして小説頑張れますので宜しくお願いします!