55.殺意2
ビュォォォ!パキッ!
エレメンタルバーストの余波によって発生した突風は木々を揺さぶる。細めの枝は突風に耐えきれず折れているようだ、風による騒音の中でもはっきりと木の枝が折れる音が耳に届く。
「ウ…ガゥ…」
「どうした、来ないのか?」
相手の様子を見るに、オーガたちはこちらに近づくのを狼狽えているようだ。この様子では僕の渾身の挑発でさえも意味を成さないだろう。というかより一層ビビらせる可能性もあるか。
「そうか、わかった。」
できればもう少し夜営場所から離して討伐したいが、こればかりは致し方ない。魔力の消耗はできれば避けたいので敵を威圧しつつ歩いて接近する。
「ガアァァァ!!!」
すると、オーガ2体は同時に大剣を振るう。ついにこのタイミングで防衛本能を呼び起こしたか。攻撃は異常に素早く、避けるのは困難だ。なら、
「ゴリ押し一択だな。」
というのも、エレメンタルバーストは魔力が薄い場所から濃い場所に流れる特性を利用して集め魔素を構成し、最終的に密集させて圧力によって魔素が破壊された際に高エネルギーが発生する現象のことだ。
つまり最終的に魔素が集束する場所が爆発の始点となる。魔力放出によって人為的にエレメンタルバーストを発生させる場合、魔力を放出する場所の面積は小さい方が魔力が収束する範囲が小さいためバーストの威力は高くなる。
つまり、指から魔力を放出した方が集束する範囲は小さく、爆発の威力は高まる。どうせなら大量の魔力を一箇所に集束させた方がバーストの威力は高くなる。掛け声もつけちゃうか!
「エレメンタルバースト!!!」
オーガは2体いる。その2体に両手で照準を合わせる。
手の平から魔力を大量に放出した後、指先をオーガに向けて魔力を放出する。
魔力が青白く光る渦を巻いて一ヶ所に集中する。そしてか細い光が伸びたかと思えば…
ゴオォォォ…!
一瞬、耳をつんざくような轟音と共に青白い2本の閃光が空を貫く、周囲の空間は夜のように暗くなり、白い光が一際輝いた。
次の瞬間、オーガの大剣は柄と刃の一部を残して消滅しており、オーガ2体は頭が肩ごとえぐり取られ、血しぶきを上げて倒れた。
「よし、これで一件落着。」
と、思っていたがまだ終わりではなかった。
ドーン!ドーン!ドーン!ドーン!
腹の底に低く響く轟音が聞こえる。木々の間に目を凝らすと先程のオーガよりも更に巨大な影が見える。それは新たな脅威の襲来を意味していた。
バキバキ、ズギャーン!
木々をなぎ倒して現れた影、その正体を今、はっきりと捉えた。血濡れたような肌の色、オーガよりもさらに巨大な背丈、一歩一歩が振動として地面を伝わる。空気を揺るがす圧倒的な怪力。
「グァァァァァァ!!!!!」
今まで戦ったものとは比べ物にならない程の威圧感。心臓は早鐘を打つ。
「ブラッド…オーガ…」
ヤツの目は怪しい光を放つ。
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