53.水が…無い2
川沿いに移動してみる。しばらくすると少し曲がりくねった深くなっている場所に辿り着いた。川の中をのぞいてみる。
「おお、いるじゃないか。」
「水が取れるついでの高望みのような物でしたが、魚、いてよかったですね。とりあえず、水を調達します。」
こういう時、先生のように魔法が使えれば一瞬で水を飲料水(というかもはや精製水)にできるのかもしれないが、こればかりは魔法代わりになっているエレメンタルバーストでもどうしようもないので大人しく蒸留して飲料水を獲得しよう。
「そこらへんの木使うか。」
手頃な大きさの木を探し、エレメンタルバーストを放ちながら手刀で木を切り倒す。
木の幹を輪切りにしたものを一つ切り出し、中身を小さなエレメンタルバーストでくり抜き、タライのような形状にする。
そしてくり抜いた板材を使って底の深い容器と、加熱するときにタライを支える支柱を作る。
比較的平らな場所に支柱を立て、上にタライを置いて中に川の水を入れ、タライの中央に容器を置く。そして動かないように重しを乗せて固定した。
カバンの中に入っていた革をタライの上に被せ、容器がある部分の丁度真上が凹むようにする。
後はタライの下で炎を炊いてしばらく待つ…
「あれ、木製のタライだと火が燃え移るんじゃ!?」
今更かよ!自分のあまりの滑稽さに呆れつた。冗談抜きに自分が嫌いになりそうだ。しかし、取り敢えず代案を考えるのが先決だ。
「え、ルナ、何してるんだ?」
何やらルナがタライの底に張り付き、必死に何かを訴えようとしている。ルナが伝えたいことを汲み取ろうと試みる。
「もしかして、ルナ、魔法の火以外も分解できるのか?」
するとルナがグッドのような形に触手を変形させる。つまりルナが炎の接触を防いでくれるというのだろう。
「ありがとうルナ!」
ルナを両手に思いっきり抱きしめる。ほんと、僕はいつもルナに頼ってばかりだな。【スライムマスター】使用者の名に恥じないよう、もっと頑張らなきゃ。
改めて、タライの下に炎を焚き、蒸留が終わるのを待った。
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どうやら蒸留が終わったようなので革を捲る。タライの水が無くなり、容器の中身は真珠のような輝きを放つ水で満たされていた。
これで飲料水を確保出来た。ルナも一仕事終え、満足げに仁王立ち(のように見える)をしている。
待ちに待った水をカップに注ぐ。水への期待に心臓が早鐘を打つ。
いよいよ水を喉に流し込む。
「くはぁ〜うまい!」
喉の内側を伝ってゆく冷たい感覚。口の中でうごめき、弾け、流れていく感覚がとても楽しく、喉の渇きが癒えていく感覚が何よりの醍醐味だ。水が人間にとってどれだけ大切なのか実感できていい。
せっかく調達できた水を早々に消費してしまっては元も子もないのでこの辺りにしよう。




