44.汎用性の塊やな
訓練開始から、早2ヶ月半がたった。
2ヶ月経ったあたりからダガーを使った練習を始めた。
訓練全体の進度としては、少しずつ実戦を想定した訓練が入ってきた。具体的には…
「クァッ!」
小さな火の玉が僕を目掛けて宙を飛ぶ。間一髪、右手のダガーで火の玉を斬りつけ命中するのを防ぐ。
次に僕の胸と肩目掛けて2つの水玉が飛んでくる。
「あっぶな!」
左手のダガーで火の玉を突き刺し、右手のダガーを左肩まで上げて振り、水玉を斬りつけた。
と、このように母さんが打ち出してくる火の玉を的として、ダガーで水の玉に当たるのを防ぐのだ。
もちろんダガーで刺したり斬りつけたりするだけでは普通火の玉は消えないが、ダガーが触れたら母さんが火の玉をダガーか僕の近くに来ると消えるようにしているのだ。
便利だな、精霊術って。
「嘘だろ!?」
次に左足目掛けて火の玉が飛んでくる。そこまでダガーのリーチは届かないと判断し、後ろに退けて避ける。
「!?!?」
僕は声にならない悲鳴を上げた。後ろに後退して避けた先に火の玉があった。
ボゥッ
「あっつ!」
僕に当たり前に消えはするのだが、その距離がとても近いので意外と熱い。
「避けるときは、避けた先が安全かどうか確かめて避けるのよ。まぁ、焦って集中を欠いたんでしょうけど。」
なんだか遊ばれているような気がして心に謎の炎が燃え上がった僕であった。
「よし、じゃあ気を取り直して次行くわよお!」
「お願いします!!」
少しの休憩を挟んで再び訓練を再開する。因みにさっきより少し火の玉が空中を飛ぶ速度は遅くしてある。しかし同時に飛んでくる火の玉の数が増えている。
目的を反応速度から複数の脅威への反応にスイッチしたからだ。
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2週間後
最近、僕らの身にとても興味深いことが起こった。
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5日前
「はっ!、たっ!、うりゃ!」
僕はその日、ダガーでの反応訓練をやっていたのだが、そのときに事件は起こった。
次々と飛んでくる火の玉を冷静に、着実に捌いて、避けていく。次の火の玉が僕の左足に飛んできた。飛んで退けたその時、
ポヨンッ
「ルナ!?そこから逃げろ!危ない!」
なんと、さっきまで僕がいたところにルナが現れ、ルナめがけて火の玉が飛んでいく。
炎に包まれるルナを頭に浮かべ、その惨状に目を伏せたそのとき!
パァン!
ルナに当たった火の玉は接触した部分から青白く光って弾け、完全に青白い光の塊となったあとにルナの中に吸い込まれるように消えていった。
恐らくあれは、魔法が魔力に分解され、ルナがそれを取り込んだのだと僕は思っている。しかし、先生に聞いたところ、曰く、魔法が分解されるという現象は過去に観測された記録がないためわからない。
らしい、僕はルナが魔法を分解する能力を持っていると思っている。こういうときこそあの言葉を使うべきだろう。
「信じるか信じないかは、あなた次第です!!」
相変わらず汎用性の塊だなとしみじみ思う。




