41.訓練開始!
距離を取り、お互いに様子を伺う。すると、母さんが口を開いた。
「やっぱり強いわね、ヒューちゃんは。でも、少し攻撃に対する反応が鈍いわ。そこを重点的に鍛えようかしら。
じゃあ、力は抜いて、手数も減らすからさっきみたいに連撃を受け止めて、ただし、私は一方向からじゃなくて四方上下から攻撃するから、全方向に警戒して。
準備が整ったらヒューちゃんからかかってきて頂戴。」
そう言って、ダガーを回して手をクイッとかかってこいのサインを出す。
僕は深呼吸によって心を鎮め、剣を構えて走り寄る。
母さんの半径2メートル以内まで接近したところで、母さんの姿が残像を残して消えた。
「…!!」
「こっちよヒューちゃん!」
母さんの声が斜め後ろから聞こえるので振り返り、受けの構えを取る。
コォンッ!
構えると同時に木が当たる音が聞こえる。そして僕の目が母さんを捉えたと同時に、再び母さんの姿が掻き消える。
「次はこっち!」
そしてまた母さんの声が聞こえる。
それから数時間、休憩を挟みつつそれを続けていた。
そして気づいたのが、母さんは僕が知覚から受けの構えをするまでの長さを読み、構えと攻撃のタイミングを読んでいたことだ。
母さんは僕の集中状態まで完全に読み、僕の構えと攻撃のタイミングを寸分の狂いもなく的確に合わせていた。
母さん曰く、タイミングを合わせることで、相手に緊迫感を与えることが出来るそうだ。実際、めちゃくちゃ怖かったけどな。
だがそのおかげで、母さんの声無しで攻撃に反応できるようになった。まぁ、母さんは恐らく本気を出していないだろうが。
てか、いつから訓練始まったんだよ。
「じゃあ、来週から本格的に訓練を始めるわよ。」
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1週間後
「今日は武器無しでの戦闘訓練よ!」
ということだ。というのも、武器が無くなれば何もできないのでは、武器が無くなった瞬間混乱に陥り、生存確率が格段に低くなる結果になるからだそうだ。
そしてこの訓練の設定課題は一撃の威力増強だ。武器無しでは並の威力では魔物に通用しないらしい。
先生の家の庭のあちこちに赤い光が浮かび上がる。
「この光の玉は火属性精霊術を魔力をかなり減らして行使したものよ。ほんの少しの風でも消えるから火傷の心配は無いわ。
今からその浮かび上がってる火を全て消してね。ただし、一撃にちゃんと力を込めないと火は消えないからね。」
よーい始め、と言いつつ母さんは手を叩く。僕はその合図に合わせて走り出した。




