40.最強のダガー使い
日曜日
「さぁ、始めるわよぉ!」
先生の家の庭の真ん中で叫んでいるのは母さんである。そこにいつもの落ち着いた、包容感のある雰囲気など見受けられない。
何がなんだかわからず混乱している僕に気づいたのか、先生がこんな状況になった理由を話してくれた。
「君の母親は冒険者を辞めてから15年間その手からダガーを手放していたんだ。だから久しぶりに体を動かすことが出来て嬉しいんじゃないかな?」
なるほど、そんな理由があったのかと納得した。確かに15年も自らの相棒を押入れの奥に押し込んでいて再び手に取ればそうなるはずである。だが、
「ヒューちゃん、何してるの?、模擬戦やるわよ?」
「あぁ、うん。」
母さんは何故、本物のダガーを両手に構えているのだろうか?
「フィー、模擬ダガーに持ち替えたほうがいいんじゃないかい?」
と、母さんの方を見て言い放つ先生。
「先生、フィーって誰ですか?」
「えっ、もしかして君、息子に名前を教えていないのか?」
「そういえば教えてなかったわね。」
やはりというか、わからないこともないがフィーは母さんの名前で合っていたようである。
「まぁ、流石に9歳の子供に自分の名前は教えないか。いいかいヒューレン、君の母親の名はフィーだ。そしてそれは同時に元最強の冒険者の名前でもある。」
「わかりました、先生。」
「じゃあ準備が整ったようだし、始めようか、模擬戦。」
あらかじめ取っていた木剣を構える。
「先手はヒューちゃんね!」
「よーい、始め!」
合図と同時に剣を逆袈裟に振るう。
コォンッ!
案の定、剣は受け止められた。だが、僕は驚愕した。何故なら、
母さんは剣を受け止めると同時に構えの姿勢を保ったまま腰を落とし、剣の軌道上から外れていたのだ。
こっちは9歳の子供なのに、だ。
ヤバい!
母さんは構えを解かずに屈んでいたのでもう片方のダガーで次の攻撃に移る。
「体、柔らか過ぎない?母さん。」
「これでもまだまだ若いからね。」
186歳で若いとはよく言ったものだ。
受け止められた剣を素早く引き、ダガーを受け止める。
「やるわねヒューちゃん。ちょっとイタズラしようかしら!」
瞬間、次の一手が眼前に迫る。
僕は受け止めていたダガーを弾き返し、次の攻撃を剣を横薙ぎに振るって弾く。
だが、母さんは腕の力を抜き、体制を崩されるのを防いだ。
そうして決して緩まることのない激しい連撃が叩き込まれる。
1発、2発、3発、4発…段々と一撃一撃が速く、重くなっていく。
このままでは埒があかない。
20発目、攻撃を受け止めると同時に僕は地面から足を少し浮かせた。
ガンッ!
すると案の定、攻撃を受け止めた反動で後ろに吹き飛ばされる。
ズシャッ
「はぁ、はぁ、はぁ…。」
なんとか着地し、母さんから距離を取ることに成功した。しかし、9歳の子供を吹き飛ばすとはどんな怪力だろうか。
皆さんこんにちは、迷子です!
さて、ヒューレンが無双ムーブを始める前の最後のイベント、『修行パート』に差し掛かりました。
早くヒューレンの冒険者生活が見たいと、スラマスの作者としてと同時に、ファンの一人として思います。(ファンがいるかは自信がありません。)
何気にこの40話からが本編だったりするかもしれません。長いプロローグでしたが、ここまで付き合ってくださりありがとうございます。
あと何気にマギーも母さんも強いわ、と文に起こして思いましたが、安心してください。
『ヒューレンにはちゃんとこの二人を大きく超えてもらいますので』(意味深)
実質的にはまだ本編始まってないので
本作【SLIME MASTER】を読んで頂いて「この小説面白い!」と思った方、よろしければ高評価、ブックマークよろしくお願いします。
長文失礼しました。また次の機会にお会いしましょう!




