39.コーチと対面…嘘だろ
「そうか、じゃあどうしようか。魔法を使えないことを補うレベルの戦闘技術を鍛えるしか。」
「それでお願いします。」
「でもあれを9歳のこの体で耐えれるのか…えっ?」
「ですから、その戦闘訓練を僕にやらせてください。」
「えっ、いや、流石に今の君に受けさせるわけには…。」
「そこをなんとか…お願いします!」
先生はひどく動揺している。どうやら押しには弱いようだ。
「わかった、わかったから、君に訓練を施す。ただし、無理は絶対にダメだ。このタイミングでの過度なトレーニングは体の成長を妨げる。」
「ありがとうございます!」
やった。これで魔物と戦う術を学ぶことが出来る。
「じゃあ今日の午後、訪ねることにしようか。あっちは忙しいだろうし。」
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夜、夕食をあらかじめ摂り、用事に向かう。近接戦闘のコーチ、一体どんな人物だろうか?
5分程歩く、そして立ち止まったのは見覚えがある。いや、僕がこっちに来てからしばらくの時間を過ごした場所だった。
何を隠そう、そこは。
「先生、ここ僕の家ですよ?」
「あぁ、そうだよ?」
先生はきょとんとした顔で首を傾げ、僕を見つめてくる。きょとんじゃないわ。
「ここ、なんですか?」
「あぁ、間違いないよ?」
先生の様子を見る限り、間違いは無いようだが、もしかしてそのコーチって…
「母さんが、訓練をつけてくれるんですか?」
「まだわからないけど、そういうことだね。」
「母さんって、精霊術師じゃないんですか?」
「う〜ん、一応精霊術師ではあるんだけどどちらかと言えば、ダガー使いのイメージかな?」
意外だ。精霊術使いなら大抵の場合遠距離要員に回されるはずだが、母さんはダガーでの近距離戦闘を取っていたという。まぁ詳細は後で直接聞こう。
先生がドアをノックする。
しばらくすると「は〜い」という声と足音が扉に近づいてきて扉が開いた。
「マギー、それにヒューちゃん、こんな遅くにどうしたの?」
母さんは不思議そうな顔をして僕らに問いかける。
「いや、ヒューレンが冒険者になりたいから近接戦闘の技術を習得したいと言うから君に講師をお願いしたいと思ってね。もちろん、無理にとは言わないが。」
「息子の背中を押せない親がどこにいるのよ?いいわよ、徹底的に鍛えてあげるわ!」
袖を捲ってガッツポーズをする母さん。
そこまで言われると少し受けたくない気持ちが湧き上がるがそれは無理矢理心の内に押し込んだ。
「ありがとう母さん!」
「今日はもう遅いわ。細かいことはまた次の機会に話し合いましょう。」
「じゃあ、詳細は次の週末で話し合おうか。」
「ええ、わかったわ。じゃあ、お休みなさい。ヒューちゃん、マギー、気を付けて帰るのよ。」
「あぁ、お休み。」
「お休みなさい。母さん。」
今日はもう遅いということで許可だけ取り、詳細は次の休日に話し合うことにした。




