37.そして転機は訪れる2
「これで、魔法天才を持たない人も魔法を使える世界が作れますね。」
「あぁ、これは間違いなく全世界における革命だ。ありがとう、ヒューレン。君に会えて僕は本当に運が良かったよ。」
「いえ、それはこちらも同じですよ。僕は本当に恵まれていると思います。今の母さんの家に生まれることができたこと、先生に会えたこと。」
「さて、これで君の魔法が使いたいという願望は叶ってしまったわけだが、君は魔法を使えるようになって何がしたいんだい?」
先生の質問に、僕は少しうろたえた。今までの僕にとって魔法を使える事こそが目標だった。前の世界に魔法など存在しなかったのだから当たり前だろう。
だが今は、この魔法を僕の人生における最大の目標に使いたいと思う。
「強い力を持つ者には、その力を他人のために使う義務がある。と僕は考えています。僕は魔法を使えるようになって、誰かのためになる事がしたいです。」
先生は、顎に手を当て真剣な眼差しで僕の言葉に頷く。
「そうか、でもねヒューレン、これだけは覚えておいて欲しい。確かに人のために力を使うことも必要だけど、必ずしもその力を人のために使わなければならない道理はない。
そして力を貸せば、その人は幸福を得るだろう。だが、その一方で自分はだんだんと衰えていく。全く気づかないところで、次第に、でも確実に自分は衰えていく。
なら、自分に力を使えばどうだろう。自分に正しく力を使えば、自分に幸福が訪れる。力を使うことは、例えるならそうして自分が得た幸福を他人に分け与えることなんだ。それを忘れないでくれ。」
先生は僕の肩に手をおいて微笑む。
「力を使いたいなら、まずは自分が幸せになれ。足元を固めて、力を蓄えて、そして初めて力を使える。」
このときの先生は、とても輝いて見えた。魔法の力で科学界に大きく貢献している人物だからこそ、これだけの説得力があるのだとわかった。
「しかしこれで当初の目標は達成できたがまだ1ヶ月半しか経ってないよ?」
「え、」
思ったより早く魔法が使えるようになったようで驚いた。
まさか1ヶ月半で魔法を使えなかったはずの僕が魔法を使えるようになるなんて誰が予想できただろうか。
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結局昨日は魔法符制作の続きを二人でこなして1日を終えた。
そして夜中に床に入って眠るまでにふと思ったことがあった。それは、
「冒険者ってどんな職業なんだ?」




