32.じゃあ改めて、スライムを探そう!1
「先生はご存知だったのですか?母がこの職場に勤めていること。」
「いや、確かに兄さんが亡くなって転職したとは聞いていたけど、どこに勤めているかまでは今まで聞いてなかったからね。」
「えっ、じゃあその前はなんの仕事をしてたの?母さん。」
「冒険者よ。」
「冒険者!?」
「あれ、聞かされてなかったのかい?君の母親は元一流のA級冒険者だったんだよ」
「え〜!?」
「ということは、まだ冒険者をやめた理由も話してないんだね。」
「えぇ。」
「なら、そろそろ頃合いなんじゃないかな。」
「…いえ、それはまた今度。見たところ、ヒューちゃんとマギーでどこかに行くようだし。…今度、あなたの家に訪ねてもいいかしら?」
「ああ、全く問題ないよ。」
「ありがとう、そこで話すから、この件は一旦保留。因みに二人はどこに行くのよ?」
「街の外の森だよ。」
「街の外って…、あそこの?」
「ああ、スライムを捕まえに行く。」
「なるほどね。あなたがいるなら問題ないし、ヒューちゃんは任せるわね。」
「了解。」
「気を付けて行ってきてねヒューちゃん!」
「うん!」
そして母さんはニコッと笑って仕事に戻っていった。
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腹ごしらえをすませ、森に到着した。
頬を撫でる風、風に揺れる木々、視界を埋め尽くす緑、あらゆる要素が涼し気な印象を与えてくれる。
「さて、スライム探しの時間だよ!4時間は粘れるかな。」
「頑張りましょう!」
早速スライム探しを開始。この森では魔物が出る可能性があるので先生と離れないように探す。
森の中にこだまする音、草叢の揺れ方、五感を研ぎ澄まし、あらゆる情報を収集し、それを手掛かりに探していく。
護身用に先生が比較的軽めの短剣を貸してくれた。まぁ、何故魔法を主戦力にする先生が短剣を持っているのかは謎だが…
毎日体を鍛えたおかげで持つことは出来た。まぁ少し重いのが本音だが…。
…2時間ほどが経過した頃、ちょっとした異変があった。
「うわぁ!」
「どうした、ヒューレン!」
急に飛び出してきたそいつは全身緑色で背は小さく、耳が大きく違ったようになり、子供がふざけて化け物の声真似をした時のような声で鳴いた。
「ギュワァァ!」
「なんだ、ゴブリンか。
…そいつと戦ってみたらどうだい?ヒューレン。『テレポート(瞬間移動)』。」
そう言って、ゴブリンを少し離れた所に魔法で追いやる。
「えっ、僕ですか?」
ゴブリンなぞ、ファンタジー作品にR−15が付く理由第1位じゃないか。だが、そろそろ冒険者になりたい身としてはいい経験になるだろう。




