29.魔法を使おう5
そして更に、もう一つの進展がある。
例のブツが完成した。あの魔石で魔法陣を描いて魔法を使えるようにするやつだ。
そして今日は最終確認の日だ。魔力を流して魔法が使えるかどうか。
「よし、それじゃあ行くよ。」
「お願いします。」
先生が魔法陣の円を触って指先から魔力を流していく。これまで何度も完成品を確認して来たのだからどうか成功してほしいものである。
先生が魔法陣を触り、指先から魔力を流していく。魔法陣の縁が青白く輝き、中央に向かって魔力が集中していく。
中央に小さな光の柱が出来、そこから握りこぶし大の水が宙に浮かび上がった。
「成功しましたね。」
「…あぁ。」
先ほど成功してほしいと言ったものの、まさかこんなに早く成功するとは思わなかった。なんなら何ヶ月もかかると思っていたので本音を言うと、実に呆気なかった。
「まさか、こんなに早く成功するなんて思いませんでした。」
「僕も同感だよヒューレン君。だが、よくよく考えれば作業自体は大変だったが、やってる事自体は至極単純だった。
成功しない可能性の方が低かったのかもしれない。」
「…そんな事言わないでくださいよ。先生」
なんか虚しくなってきたので僕と先生は、もう完成した事を喜ぶ事にした。
「そういえば先生。」
「僕達はこの道具の事を『魔法陣』と読んでいましたよね?」
「ああ、そうだね。」
「ですが魔法陣とは魔法を使ったときに出てくるあの文様のことです。」
「なるほど。つまりこれの名前を決めようと?」
「そういうことです。」
「…思いつかない。君が決めてくれないか?ヒューレン。」
「えっ僕ですか?…魔法の札…魔法…マジック?…いや…ウィザードリィ…ウィザード…札…アミュレット…ノート…『ウィザードノート』…ってどうですか?」
「カッコいいねその名前、君に頼んで良かったよヒューレン。それで決定だ!」
「ありがとうございます!」
「魔法符も完成したことだし、これでヒューレンの魔力放出の練習に専念できるね。」
「そうですね。ん?」
「ん?どうかした?」
「いや、これって一枚だけでいいのかな?と思いまして。」
「あっ、確かに。1枚だけじゃ使い物にならないか。」
やっぱり先生は肝心なところが抜けていたのだった。
「これができたのも君のお陰だよヒューレン。本当にありがとう。そうだ、何か欲しいものとかやりたいこととか無いかい?」




