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2.見知らぬ世界と誰かの記憶2

 映像の中に映し出されたのはさっきの僕と瓜二つの子と、美しい顔立ちの・・・いや、間違いなく『絶世の美女』と言って申し分ない美貌を持つ18歳くらいの見た目の女性と、筋骨隆々とした肉体を持つ23歳くらいの男性の姿。


 おそらくこの子のご両親なんだろうな、とてもほのぼのとした雰囲気を感じ、心が温まり、柔らかく解されていくような感覚に心が安らぐ。


 しばらくしてゆっくりと暗転し、次の場面がディスプレイとして映し出された。


 古典的な『教会』のような内装をした建物の教壇にて神父らしき人物の前でさっきの子がきょとんとした顔で突っ立っている

 その子供を慰めるように親が子供を抱きしめた。


 その様子が何を表しているのか分からなかったが、何故か心が締めつけられるような気がして、反射的に涙が頬を伝った。

 涙の温かい感覚とは裏腹に言葉にできない不安に襲われる。


 もしかしてだけど・・・この体に眠るこの子の深層心理の様なものが存在して、この夢の中の回想に何らかの反応を示しているのかもしれない。


 そして再び暗転。次の場面が暗闇に浮かび上がる。


 教会の敷地にて、葬送の儀が行われているようだ。この時代の喪服は白なのか、何だか違和感を覚えるが注目すべきはそこじゃない、埋葬されている人物の顔に見覚えがあった。


 この人物、恐らくこの子の父親だろうな。その証拠に、僕の目の周りがジンジンして腫れているのが分かる。僕はうめき声を上げて泣いた。心はひどく冷静なのに。


 僕が悲しみを感じていないことへの罪悪感を押し殺してひたすら泣いた。そして次第に涙が止まって来るとまた意識が朧げになってきて、僕の意識が再び飛んだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「・・・・・・ゃん!・・・・・・ヒューちゃん!!」


 誰かの声が聞こえる。しばらくすると、意識が戻って来たので目を開ける。

 ついさっきの夢に出てきた女性と同一人物であろう人物。・・・いや、現在の僕の母親にあたる人が僕の顔を覗き込んで叫ぶ。


「ヒュー・・・ちゃん?・・・誰?」


「何、言ってるのよ・・・


ヒューレン、あなたの名前はヒューレンよ。とにかく、無事で良かった。どこも痛くない?体調は?」


「うん、大丈夫、何処も痛くないよ母さん。」


「そう、なら良かったわ!!」


 そう言って、母さんは僕に抱きついて来た。外国には行ったことが無かったが西洋では関係が近い、又はリスペクトする人同士のスキンシップが多いのは本当だったんだな。

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