23.大人気ない
しかしそこで一つ疑問が浮かぶ。なぜ一発で相手を殲滅できる上級魔法の使い手なのにあんな至近距離での戦いを挑んだのか。
それを聞いてみることにした。
「お見事です先生。」
「ああ、ありがとう。しかしその顔だと僕の戦闘に納得がいってないようだね。」
「ええ、一つ聞きたいことがあって、何故上級魔法が使えるのにあんな至近距離での戦闘に挑んだんですか?」
「う〜ん、何となく緊迫感がある戦闘をしてみたかったからかな、あれだけの魔法を使えるようになるとどうしても戦いが単調に終わって面白くないんだよね。」
「なるほど」
強者故の性なのか、或いは戦闘狂か…
「しっかしラージ・ボアが街の近くに出るなんて珍しいね。」
「そうなんですか?」
「あぁ、ラージ・ボアの生息域は…あの北側の森の辺りで普段は草原にまでは出てこないんだよ。」
そう言って先生は北を指差す。その先には木々が鬱蒼と茂って地平線を成すほどの大森林が横たわっていた。
「…なにかあるんですかね。」
「さぁ…、今はなんとも言えないな。ひとまず、冒険者組合に報告したほうがいいだろうね。」
「では、帰りに寄りましょうか。」
「そうしよう!」
「まぁまだ昼下がりなんだし、続きをやろう(草相撲の)!」
そして先生は察しろと言わんばかりにガン見して威圧してくる。流石の僕でも少し疲れてきたぞ。
「先生、大人げないんじゃないですか?子供相手に草相撲の相手をせがむなんて。」
と、嫌な顔をしてみせる僕。
「はたから見るとそうだが、事実上君は大人だろう?特に問題は無いんじゃないか?」
それでも大人か…的なことを言われたがこっちのセリフだと言い返してやりたくなった。が、それも止めておこう。どうせこの会話が長引くだけだし。それよりも
先生が、ソクラテスが街を回りまくって「あなたは賢いですか?」と言いまくったが如く、色んな人に草相撲勝負をふっかけやしないかと内心ヒヤヒヤした僕である。
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結果、20分の勝負の後、僕は勝敗を先生に譲ることになった。いや、先生がぶん取ったという表現が妥当か?ともかく、先生が喜んでくれたようで何よりだが、眠たい。
因みに先生はまた新たな獲物を見つけたらしく、駆け出していったところだ。僕に気遣って無音で魔法を使ってくれている先生に感謝だ。
因みに先生が魔法を無音で使う理由は遮音魔法と重ね掛けするよりも効率がいいから。だそうだ。




