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19.やっと出たか

 しばらく遊んだあと、ふと先生は暇じゃないだろうかと思った。あと一人で遊んでいるのはとても退屈だ。


 先生のところに駆け寄っていく。


「先生今暇じゃないですか?」


 すると先生は苦笑いして


「図星だな。君の目はやっぱり誤魔化しきれないよ。二人で遊ぼうか!」


「じゃあ『草相撲』やりましょう!」


「『草相撲』、何だいそれは?」


「遊び方は追々説明します。まず、それぞれその辺りに生えている雑草から、より千切れにくいものを選んで採って下さい。」


 僕と先生はその辺りに生えている雑草から使うやつを選んでいく。


 よし!、これにしよう。さて、先生は選べたかな?


「採ったよ?」


「では次に、お互いの採った草をクロスさせて両方の端を持って下さい。」


「…よし、これでいいよね?」


「はい、それでOKです。じゃあ僕が3,2,1,0とカウントするのでカウントが終わったら草を引っ張って下さい。では行きますよ…3,2,1,0!」


 カウントが終わったタイミングでお互い力をいれる。


 お互いの草の表皮が次第に剥がれていき、緑の色素が少しずつ薄くなっていく。

 そろそろ勝敗が決まるか。そう思った瞬間、タイミングを計ったように…


  …ブチッ!


 勝負は決した。


「くぁ〜僕の負けか〜!」


「フフッ、勝負ありましたね。」


 目を細めて、ドヤ顔をして見せる。先生はとても悔しがった。こう先生のリアクションが面白いのでついついおちょくりたくなって困る。


「もう一回やろう!」


「もちろん、受けて立ちますよ。」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 大体80回くらい勝負しただろうか。僕と先生の勝率も5分5分くらいになってきた。

 しかし合計の勝利数は僕が上回っているために先生が放してくれない


「次こそは…もう一回、もう一回やろ!」


 しかし僕もそこまで苦ではない。


 草相撲は好きで、一度やり始めたら延々と続けてしまう。


 あまりに集中しすぎて気づいたら友達に帰られていた事もしばしばあった程だ。


 今も勝負の途中だが、急に先生は頭を上げて、こう言った。


「お!、やっと出たか。『ユバトス(風速移動)』!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

❲ユバトス❳

 風属性中級魔法。突風を自身の体に当てて推進力を得て高速移動する。この魔法での風は初級魔法とほぼ変わらないが、この魔法で移動するにはコツがいるため中級の枠組みである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 呪文を唱えた刹那、突風が吹き荒れ、先生の姿が残像を残して掻き消えた。

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