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16.踏み出せない初めの一歩

「でも、人間は体外の魔素を制御出来ないことと、魔法陣は何によって形作られるのかがわからないという2つの課題がある。」


「なるほど。」


「ただ恐らく、魔法陣は魔素によって出来ていると僕は考えている。」


「それは、なぜですか?」


「魔法陣は魔素を動かして分子を作り物質に変換する装置、そして、魔素には重さがある。重さがあるってことはつまり?」


「…引力がある」


「そういうこと!ただし、魔素一つ一つの重さに大した違いは無い。つまり魔素は魔素が多く集まっている方に動いていく。もし魔法陣がこの性質を利用したものなら合点がいく。


 そしてもう一つ、魔法を使う時に瞬時に構築されるということは人間の体内から出てくる物でできている可能性が高い。つまり、魔素であると考えると辻褄が合うんだ。」


「なるほど。」


 確かに魔素で出来ている可能性が高いと僕も思うが、先生は魔素で出来ているかをどうやって調べるのだろうか?

 せっかくなので聞いてみよう。


「魔素で出来ているかはどの様に確かめるのですか?」


「いい質問だね。君は『魔石』というものを知っているかな?」


「ええ、知ってますよ。生物の死亡時に体内に内包していた魔力が圧縮され結晶化される物ですよね。」


 そう、なろう系ではよくモンスターの体内には『魔石』があるとされているがこの世界では体内に魔石などというものはない。その生物が死んだ瞬間『魔石』は出来るのだ。


 そしてできる魔石はその個体が体内に内包できる魔力の量に比例する。そして魔石が生成される現象は人間の死亡時も例外なく起こる。


「そして魔石は魔素に触れるとその部分が発行するんだ。その性質を利用すれば、例えば構築した魔法陣に魔石を近づければ魔法陣が魔素で出来ているか否かを調べられる。」


「凄い簡単に調べられるんですね。それなら明日にでも出来そうですね。」


「いやぁそれがさぁ、今魔石切らしちゃってるんだよね!」


「えっ…。」


 やりよったぞ!散々熱語りしておいて魔石を切らしていて今は実験が出来ないと言いよった!

先生のニコニコ顔が余計憎たらしい。


「どうするんですか!」


「週末、魔石を取りに行こうか。」


「先生戦えるんですか?」


「甘く見てもらっちゃ困る。これでも僕はこの国屈指の大魔術師なのだよ!」


 そうですか。先生の自信に満ち溢れた態度をよそに僕は不安を感じずにはいられなかった。

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