14.噛み合う歯車1
「ええ、こちらからもお願いします。一年間、一年間ここに泊めて下さいませんか。」
「えっ、そんなに長居してくれるのかい?本当にいいの?」
「というより、是非こちらからお願いしたいです。母さんも、それでいいよね?」
「ええ、もちろんよ。ヒューちゃんの意見は最大限尊重するわ。」
「じゃあ決まりだね。一年間よろしくね、ヒューレン君。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。フォーアライター博士。」
「先生とよんでくれたまえ」
『ヒューレンはマギー・フォーアライター博士を先生と呼ぶことにした。』
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荷物の移動については先生の魔法が大活躍だった。そして母さんは「ヒューちゃんをお願いね。」と言って、帰っていった。
気づけば太陽は既に低く傾き、陽の光は紅に染まって窓から差し込んでいた。
「さて、来て早々で悪いのだが風呂に入って来てくれ。風呂から出たらそのまま食事にしよう。
君のお陰でいつもは寂しかった食事の時間がとても楽しいものになりそうだよ。」
僕は先生に言われた通り風呂に使った。そして先生の期待を裏切らないためにも湯船に浸かりつつ話す内容を考えた。
そして食卓に着く。先生は普段あまり食べることのない肉料理や魚料理、その他この時代ではあまり手に入りにくい料理を振る舞ってくれた。
でもやっぱりお袋の味が一番舌に合うと思ったのは内緒である。
そして食事を取りつつ僕の魔法の理論を先生にお話した。そうすると先生は深く頷いてこういった。
「君が立てた理論は僕が提唱したものと限りなく類似している。これは、明日からの毎日は退屈しないな。心が弾むね!」
それは僕も同意見だった。魔導科学の最先端を行く先生と毎日意見を交わすことが出来るなんて、母さんには感謝してもしきれないな。
あと、何で先生は洋画の日本語吹き替えみたいな喋り方をするんだろう?
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次の日から先生の実験に付き合うことになった。そして僕は母さんが昨日先生に『あなたにとっても悪い話ではないのじゃないかしら?』と言っていた理由を知ることになるのだった。
「で、先生が僕の手を借りてやりたい実験って何なんですか?」
「ヒューレン君、君は『魔力放出』という技能を知っているかい?」
魔力放出?聞いた覚えがないな。
「いえ、ありません。」
「そうか、まぁ無理もないね。魔力放出の技術は魔法の行使に全く関係の無いものだというのが世間一般の定説だから。
『魔力放出』は、その名の通り体内の魔力を体外に放出する技術の事だよ。」




