12.お茶とコーヒー1
1週間後、また母さんに頼み込んで魔法を見せてもらった。
「先週と同じでお願い。」
「わかったわ。『イグニス』!」
やはり、魔力が動いていた。手の平から文様の端のほうに向かって。
「次行くわよ、いいかしら。」
「お願い。」
「行くわよ『アクア』!」
何度見ても魔法は不思議だな。それはともかく、今の魔法を見て気づいたことがある。
よく見ると、使う魔法によって謎の文様の柄は異なることに気づいた。すごく複雑な柄だったから初見では気づかなかったんだな。
「なるほど、理解した。」
「ん、どうしたの?」
僕は母さんに気づいたことを話した。そしたら、
「うちの子、天才だわ・・・。」
と、半泣きで言われた。
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その日の夕食後、僕が部屋に戻って今日のメモを取ろうと部屋に戻ろうとしたら母さんに呼び止められた。
「ヒューちゃん、もっと魔法を勉強したくない?」
「えっ、そりゃ勉強できるに越したことは無いけど、なんで?」
「実はね、ヒューちゃん。
あなたの魔導科学に関する考察は現代の魔素物理学の最先端を行く物なの、だからこの家にいてもこれ以上得られるものはないわ。
そこで、私の知り合いに学者がいるから彼に弟子入りしたらどうかな?って思ってね。」
「えっ、いやそれが出来るなら有り難い話だけど何で母さんの知り合いに学者がいるの?」
「それは、えっと…ヒミツ!」
母さんの人脈の広さに驚愕した。186年生きてるとそうなるものなのか?いや、ならんだろう。母さんの発言からも母さんが何か隠してるとしか思えない。
「まぁいいや、じゃあ母さんに頼むよ。」
「分かったわ。じゃあ明日私が仕事から帰ってきたら行きましょう。
今日はもう寝なさい。」
「はぁい、お休み母さん。」
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次の日の午後、母さんの後ろをついて行って5分程歩いた。そして母さんはある家の前で止まった。そしてその家の戸を叩く。
「あぁ、よく来たね。取り敢えず入ってよ。」
「お邪魔するわ。」
「お邪魔します。」
僕と母さんを出迎えたのは少し落ち着いた雰囲気を漂わせるがまだ若さが残る顔つきの男性だった。
「ここに座って。お茶とコーヒーどっちにする?」
「コーヒーでお願いするわ。」
「僕はお茶にします。」
「はい、じゃあちょっと待ってね。」
と言って、彼はお茶とコーヒーを淹れている。こうしていると、とても彼が研究者だとは思えない。勝手な偏見だが、僕の中での研究者といえば研究以外に何も興味が無いような印象だったからだ。
もしかしたら、こんなことを考えてしまうのは僕がまだ心の何処かでこの世界を現実ではなくフィクションだと思っているからなのかもしれない。




