プロローグ
「レイ・ガルスチア、貴様はこれから家名を名乗ることは許されない。この家から追放だ。」
レイ・ガルスチア、この物語の主人公だ。そしてガルスチア家の三男だ。
レイは突然言われたことに理解が追いついていなかった。
「父上待ってください。俺が何をやったと言うんですか?」
「こんな無能を家に置いとかなくっていい年齢になったということだ。」
いい年齢?
「そしたらミレイカとの婚約はどうなるんですか?我が家に必要なことですよね。」
レイはミレイカ・ルネッサンスという伯爵令嬢と婚約を結んでいる。
「俺の婚約者の名前をゴミ以下に呼ばないでいただきたい。」
「グレンザ兄様」
話に入ってきたのはグレンザ・ガルスチア。ガルスチア家の次男坊だ。
「僕の大切な1人しかいない弟の名前を家畜が呼んでいいって誰が言った?」
ここで登場したのは、長男のバルンサ・ガルスチア。時期公爵家の跡取りだ。
「私の名も呼ばないでいただきたいですわ。」
「ミレイカ!ここには来てはならない。ゴミがいるんだ。即座に出すから待ってくれ。」
「だからレイ。お前は早く荷物を取って出ていきなさい。」
レイは絶望に満ちていた。自分の家の人に人間と思われていないことや、避けられていることに。
「わかりました。荷物をまとめます。」
(くやしい。くそ。俺がなんでこんなふうになっているんだ?)
レイは悲しみというより、悔しさを持っていた。
「荷物をまとめたら地下に来なさい。」
ダニエル(レイの父親)はそう言い残して去っていった。
「はい。」
「ミレイカもうあんなゴミと合わなくってすむんだ。」
グレンザがミレイカと話していた。
「レイ様。こちらへ。」
執事がレイに話しかけてきた。
「わかりました。」
〜地下〜
「レイ。最期に言わなくちゃならないことがあるの」
この人はフィオナ・ガルスチア。レイの母だ。
「なんでしょうか?」
レイは無愛想な感じで言った
「フィオナ。この事は私から言わせてくれ」
ダニエルが話しに割り込んできた。
「レイこの魔方陣は知っているな。」
突然レイに話しかけたため、レイは戸惑いながら
「森の転移魔法陣ですよね?」
「ああ。ただし少し転移する場所を変えさせてもらった。レイ、よく聞きなさい。」
厳しい口調で言ってきた。
「この先は我々の所有している森ではない。そしてその先に人がいるから会いなさい。」
「ダニエルそろそろ時間よ。」
時間?レイは時間制限なんてあったのか?と不思議に思った。
パン
突然2人の体から風船が弾けたようなでっかい音がなった。
「う、うん?レイ!なぜまだ行っていないんだ。」
レイは急にダニエルの態度が変わったのでびっくりした。
「あなた。あなたが起動させないとこのゴミは行けないわよ」
フィオナも態度が変わったので不思議に思った。
ダニエルはレイが魔法陣に乗ったのを確認して
「転移」
と唱えた。
「ダニエルさん。フィオナさん。今まで育ててくださってありがとうございます。」
レイはそう言って転移された。
〜森〜
「ここはどこだ?」
レイはついた瞬間に言ったのがこの言葉だった。
「あら等々来たの、遅かったわね」
どこからか、女性の声がした。どこからしているのかと、探すと
次に男性の声が上から降ってきた。
「真上だ。てか言ったはずだが、「人がいるから話しかけなさい」と」
レイが上を見上げると、2人浮かんでいた。レイはびっくりしたのか、腰を抜かした。
「な、なぜ浮かべているんですか?」
レイの最初の質問がこれだった。それを聞いた2人は
プルプル、プハ。2人とも笑いをこらえきれなかったのか、笑いながら答えた。
「なぜって君もこれから浮かべるようになるんだからその質問は後で。」
「まずはここについて質問しない?普通。」
レイはその言葉で気づいたらしく、
「そうだここはどこなんですか?そしてあなた達は?」
と、慌てて聞いた。
「まあそう焦るんじゃない。時間はいくらでもある。」
男のほうが言ってきた。
「そうよ。そんなに焦らないで。まあ、まずは私からね。私の名前は、ルーゼパルキラ。」
レイは彼女の名前を聞いて首を傾げた。
「ルーゼパルキア?なんか聞いたことがあるぞ」
「そして私の名は、グレンダ。よろしく頼む。」
男、グレンダの名前を聞いて思い出したのか、三秒ぐらい止まって倒れた。
「やれやれ情けないのう。」
「グレンダ可哀想じゃないの。さっさと運ぶわよ。」
「お前だって運ぶとかモノ扱いしてるじゃねえか。」
という会話を繰り広げながら運んだ。