表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

真相特急(仮) 第一話

雄二は困っていた。昨夜11時に床につき5時間、全く眠れなかった。原因は?と聞かれて即答できるようなものはないが、人生について疲れ切っていた。

ふと、昨今はやりのロックミュージックを口ずさむ道の女性の声を聞いた。


彼は身長が190cmと幾分高い他は取り立てた取り柄のない平凡な男だった(と思っていた)。兄の太郎も、平凡ではあったが何でもそつなくこなせる奴であった。


夢がある人間は輝く。作家という夢を持っていた雄二は、それを先月諦めた。それ以降の人生は全てがコントロールできない感があって堕落した日々をすごした。

「俺は何になれるのか」

そんなことばかり考えているうちに、日が昇っていた。


目を覚ますころは、いつも太郎は満員電車に乗っている時間だった。スクランブルエッグのまずさに驚きつつ半目を開けていたとき、急にテレビに飛び込んできた赤字のテロップと、そそかしそうな女性。

 「先程、田園都市線青葉台駅において、20代の男性が電車に飛び込みました。男性は体を打ち、死亡したとのことです」


瞬間、背筋にはりねずみが通ったかのように感じた。

画面に写っていたのは太郎だった。


祖母の春美に事情を伝えると、気絶してしまった。しょうがない。

そこからの数日はあっという間に過ぎていった。病院の往復、葬式。。。走馬灯のように感じられた数日、雄二はなぜかこれまでの人生で最も、しっかりしていたようだった。


実は太郎は雄二のそばにそれからずっといた。人間界に残っていたのだ。声は届かないから、ずっと座っていたが。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ