第六話 不穏な影
同時刻
静かな森の中から魔法の望遠鏡を使いながら黎斗達を監視する男がいた。
その望遠鏡を覗き込みながらティルシーを確認すると男は不気味に笑い、
「当たりだな」と一言だけ声を発すると
森の中へと消えてゆく・・・・
グラニスに案内されて家に入ると椅子に座りながら編み物をしていたグラニスの母がいた。
「あら?ティルシーさん!それに黎斗さん。いらっしゃい」
「こんにちわシナリアさんお久しぶりです」
ティルは頭を下げる。
それに釣られて俺も頭を下げた。
「今日はどうしたのかしら?」
「今日はもう遅いから泊まっていってもらおうと思って誘ったんだよ」
「そうだったの!それじゃあすぐにお夕食の準備するわね!」
シナリアさんはなぜか上機嫌になって夕食の支度に向かった。
俺はシナリアさんに聞こえないようこっそり耳打ちし
「お前の母さんあんないつもご機嫌だっけか?」
とグラ二スに聞いた。
「母さんはティルシーさんの事をすごく気に入ってるからな。だからじゃないか?」
なるほど。そうゆうことか。
「じゃあ夕食の準備をしている間に早速部屋に案内をするよ!」
二階の部屋へと俺たちを案内してくれたのだった。
案内してくれたのはいいんだがそこは物置部屋だった。
「お前の部屋はここな?」
笑いながらグラニスは言う。
「ちょっと待て・・・ここは物を置く部屋だよな?お客様は物じゃないよな?」
俺がそう言うと、グラニスは畏まるふりをしながら
「いえいえお客様。このお部屋は当宿屋自慢のお部屋にございますよ?」
グラニスが言い終わると同時に横にいたティルが笑いを堪えられず吹き出した。
「良かったね?最高級のお部屋で寝られるね?」
ティルは笑いながら俺に言ってきた。
ちくしょうめ・・・グラニス覚えておけよ?
次一緒に吞むときにお前のエールに幻惑作用のある薬草ぶち込んでやるからな?覚えとけよ?
俺は静かにグラニスへのささやかなお返しを誓ったのだった。
その後ティルはグラニスの部屋へと案内された。
どうやらグラニスはこの後も門番の仕事があるらしく、今日は帰ってこないらしい。
大変なんだな・・・門番って
立ってるだけだからそんなに大変じゃなさそうと思っていたんだけど。
結構拘束時間が長いんだな。
そんなことを素敵なお部屋で考えていると
夕食ができたらしく、ティルが呼びに来てくれた。
居間に着くとそこにはクリームシチューみたいなスープとパンが置いてあった。
それに干した果物みたいなものもあり、しばらく硬くなったパンと薬草スープのみの俺には御馳走に見えた。
俺は無我夢中になりその御馳走を食べた。
とてもうまい
うますぎる
こんな料理を毎日食べるグラニスが羨ましい・・・
バクバクと食べる俺をジーと見つめてくるティル
仕方ないじゃあないか
少なくとも薬草スープにこんなに夢中になることはできん
俺はティルの視線を無視しながら、ご飯を食べ続けた。
ご飯を食べ終わるとグラニスは門番の仕事に戻っていった。
さすがにお腹一杯になった俺も一足先に部屋に戻ってしまった。
「いや~それにしても美味しかったなぁ~」
ゴロゴロしながら呟いていると、何やら旗のような物を見つけた。
その旗には黒い狼の顔と紋章みたいなものが描かれていた。
なんだこれ?国旗?
でも確かこの国の国旗はこんなんじゃなかった気がするけれども・・・
そういえばこの国【グランディア王国】は五年前に一部の大貴族による反乱が起きて【オルバニス帝国】が滅んだ後にできたらしい。
その時に皇帝【オルタニアス】・皇女【オルレンシア】は死亡し、その他の皇族もそのほとんどが処刑、または逃亡したとか。その中でも皇太子【オルファリウス】は唯一生き残り、オルバニス帝国の同盟国でもあった西にある国【フィリアス連合国家】の力を借りて現在でも国を再興しようと西の要塞にて依然として戦争状態が続いているらしい。
まあ、流れ者の身分の俺にはそんなことはどっちでもいいんだけどな。
そして俺はしばらくすると深い闇の中に意識を溶かしていったのだった。
こんにちは!楽道です。
この話を書いているときに、パソコンが急に電源落ちて焦りました(汗)
しかも、保存せずに書いていたので書いていた文章一度すべて消えました。
泣きたい・・・( ;∀;)
次回は間に合えば今日
または明日になります!
よろしくお願いします。