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動き出した時計の針

作者: 朝焼 悠

止まっていた

時計の針が動き出して

これでようやく抜け出せる

ここからが新しい始まりなんだ


立ち止まってしまったあの日から

いつ以来かも忘れてしまった一歩を踏み出せたとき


これからは世界が広がって行くだけなんだと

甘く考えていた


現実はできないことだらけ

上手く行かないことだらけ

僕の抱えている事情なんて

言い訳にすらならなくて


動き出した時計の針でも

簡単に止まるのだと知った

止まらなくても停滞してしまうのだと

ましてや長い間止まっていた僕のは

あちこちが錆びついているから余計に


坂道を転げ落ちるみたいに

悪いことは重なったりするけど

同じ速度で幸せは降ってこない気がする


何もかもが一度に良い方へなんて流れない

少しずつ

それも少しでも手を抜いたら簡単に

すり抜けてなくなってしまいそうなほど

慎重に扱わなくてはいけないもので


いつもギリギリなんだ

多分次に止まってしまったら

もう二度と動けない

そんな気がして


世界を広げられた気がしているときほど

これまでの世界のことを

ロクに理解しようともしていなかった

自分の傲慢さを知って


難しいな、生きるって。

これでも懸命にやってきたつもりだったけど

その懸命の甘さばかりが目に付くようになって


ただ、それも動いているから

進められたから

見える景色なんだって

自分に言い聞かす


今は後悔だらけでも

もう少し先へ行けたら

また景色が変わるかもしれない


周りから見れば

遅くても

今更でも


少しずつ

少しずつ

せっかくの動き出した時計の針

もう二度と止めてしまわないように

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― 新着の感想 ―
[一言] 止まっていた感情を動かす詩を投稿して下さり、ありがとうございます。 とても、心に沁みました。
2021/09/29 20:10 退会済み
管理
[気になる点] まだ、あとちょっと世界観の広がりがあったって、面白くていい。ここは地に足を縛りつけないで、思いきって想像の空、へと飛んでみよう。
[良い点] 今日も胸に沁みる詩を、ありがとうございます。
2021/09/29 19:19 退会済み
管理
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