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話を聞いてくれたら3000円

 ねぇ、あなた。

 かわいくてオッパイでかいよね?

 いつも男にモテモテよね。

 すごいよ。そこまで男にモテモテなの見た事ない。

 私の彼氏もあなたを好きになったのは分かる気がする。


 え、そんな事はない?


 ははっ、またまたそんな。

 謙遜けんそんはいらないよ。

 でも、性格もいいのね。


 ……性格良いやつは人の男にパイ押し付けながらすり寄らないだろ。


 あ、うん。

 こっちの話。


 そうそう、私の話10分聞いてくれたら3000円あげる。

 本当だよ。

 ありがとう。来てくれて。優しいんだね。


 でね、突然の話でごめん。


 全然関係ないんだけど、小さい頃かくれんぼってしたよね。


 ……あ、はと豆鉄砲まめでっぽうくらったみたいな顔してる。


 興味なかったら聞き流してくれて良いよ。


 で、かくれんぼ。

 したよね。


 公園とか学校とかで放課後何人かでやったよね。

 懐かしい。


 鬼は1人だからその他はパッと広がって思い思いの所に隠れる。


 でも、小学生が隠れられる所なんて大体固まってきちゃうの。

 いつも同じところで遊んでるしね。


 ……私の話興味ないんだね。こっくりこっくりし始めてる。寝始めのスピードやばくない?


 ……まあ、いいか。ちょうどいいかも。こいついくらかわいくても、起きてるとその性格で台無しだし。

 男の前だけなんだよね。


 でね、私もよく隠れるお気に入りの隠れ場所があったんだけど、たいていそこには先客がいるの。

 友達ならそこで仲良く隠れるけど、そうじゃない。


 黒いモヤモヤした霧みたいなのがいたの。


 普通ならそんなとこに隠れないけど、そうそう隠れ場所なんてたくさんないし、私はそこに隠れたかった。

 それがいけなかったのね。


 私が隠れる度にその黒いモヤモヤは形がはっきりしていった。


 そいつは大きな男の子の顔になっていった。

 いつもニヤニヤと笑いながらこちらを見ていたわ。


『僕たち気が合うんだね』


 そう言われてから私は今までの行動が間違ってたと思った。

 私はかくれんぼの最中だったけど、大声で叫んだっけ。


 ……あなたもかわいいけれど、私も小学生のその時まで地元でかわいいって言われてたんだから。


 ……だけどね、男の子の顔がニタニタしながらずっとこちらを見ていたらどう?


 その男の子の顔は最初小学生くらいだったけど、段々と私と一緒に成長してくのよ。


 でも、精神年齢? は成長しないみたいでね。


 時々、私の部屋でかくれんぼして私を驚かせてくるの。


 どう?


 常にそんな幽霊が一緒に居たら気が抜けないし、着替えも満足にできないし、おしゃれもできない。

 地味に下を向いているようになったわ。


 そんな私にも優しく声をかけてくれた彼氏。


 男の幽霊は男には興味ないみたいで、というか、男は目に入らないみたいなの。


 だから、彼氏とも何でもない話をして楽しく過ごせた。

 心が安らいだの。


 ……私、これで良いと思ったのに。


 お祓いとかも全然効かないからこれでいい、ってそう思ったのに。


 あんたが壊した。


 まあ、でもすぐ浮気する男はいらないわ。

 あげる。お下がりでごめんね。


 だから、だからね?


 ……、とびきり可愛くてオッパイでかいあなたなら、幽霊も気に入ってくれるよね?


 男好きのあなたなら男の幽霊も引き取ってくれるよね?


 ……ああ、あなたをニヤニヤしながら見てる。

 良かった。


 そいつさぁ、お祓いしようとするとどこかに隠れちゃってできないのよ。

 ま、頑張って。


 3000円ここに置いて行くね。


 私、パパママにお願いして引っ越すの。

 転校の手続きも済んでる。


 明日からたくさんオシャレして、メイクして、勉強にも集中できる。


 嬉しい。

 ありがとね。

幽霊も成長したり、好みが固まってきたりする奴もいるに違いない。多分。

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