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51:ご立派すぎて、もう言葉もないよ

「アルスト……ッ!」

 あまりのまばゆさに目を閉じてしまったサフィストは、

 腕で光を遮りながら、必死にアルストの姿を確認しようとしていた。


 しかし、目を開いても一面は光で白く染まっている。

 これでは姿を確認するどころの話ではない。

 いったい何をしたのだと問いかけるよりも先に、光の中から声が響いた。


「――僕のアルストに気安く触らないでくれる?」


 光が薄れて弾けた瞬間、

 その場に姿を現したのはイルディアだった。


 両腕を腰に当てて、ふよふよと空中に浮いていた。



「神官が女神様を呼びつけるって何だよ!?」

 サフィストは思わず叫んだ。


「見事な信仰心ではありませんか」

 しかし、アルストは平然と言ってのけた。


 そもそも、女神を現世に呼び覚ましたのはアルストの術によるもの。

 今さら、野営地からここまで呼び出したところで大差ない――というのが

 アルスト側の言い分ではあった。


「――トワイライト!」


 アルストにくっついたままのテトラが声を上げると、

 イルディアはみるみるうちに、ご機嫌ななめになっていった。


「僕をその呼び方で呼ばないでってば。あと、アルストから離れてよ!」

「いやよ、アタシが話をしていたのよ!」

「そのやらしい手をどけてくんない!?」

「いやよ! アタシが話をしてるって言ってるでしょっ」

「関係ないよ! そのきっつい乳も、さっさとしまってよ!」

「あら、ごめんなさいね! アナタにないモノ、見せ付けちゃって!」


 信仰心の名の下に呼びつけた女神と、魔族の言い合い。

 その間に挟まれたアルストは、多少うんざりとした表情を浮かべていた。

 女が寄ると、()()()()()とは、よく言ったものだ。


 片方は男だが。


「アルストだって迷惑そうな顔してるじゃん!」

「それはアナタがうるさいからじゃないの!?」


 どちらも正解だが、どちらも離れてほしい。

 アルストは腕を引いてみたが、テトラにがっちりと捉われてしまっていた。

 今のところは害がないから構わないが、何かを仕掛けられては困る。

 この距離では防ぐこともできそうにない。

 だが、刺激もしたくない。


(……どうしたものか)


 アルストが思案げにしていると、イルディアが一気に距離を詰めた。

 そして、空いている方の片腕に自らの両腕を絡めた。


「アルストが呼んだってことは、助けてってことだよね?」

「ええ、まあ、そうです」

「ちょっと! まだ話が終わってないわ」

「はあ、話ですか」


 もうどうだっていいから、とにかく離してほしい。

 アルストは心底うんざりしていた。


 一方、妖艶な美女と愛らしい女神に取り合いをされているアルストを見つめているサフィストは、

 いよいよ、うらやましいような気分になってしまっていた。


「アルストばっかりおいしくないか?」

「おかしくないか、の間違いですか」


 最終兵器と言わんばかりに女神を呼びつけたアルストだったが、

 それが職権濫用だとも何とも思っていない様子でいる。


「いや、おいしい……」

「おかしいですかね」

「おかしいです」

「そうでしょうね」


 サフィストは幼馴染の圧に負けた。

 その間にも、イルディアとテトラの言い合いは続いている。


「じゃあ、アルストに決めてもらえば!」

「最初っからそのつもりでいたけど!?」


 ぐいっ、ぐいっ!

 両腕をそれぞれ別方向から引っ張られて、アルストは肩が抜けそうだ。

 いつも通りのポーカーフェイスだが、少しばかり頬が引き攣っていた。


「アルスト! 可愛い系とセクシー系、どっちがタイプなの!」

「ぺったんよりは大きい方がいいんじゃない?」

「あっ、そういうのはずるい!」

「おあいにくさまぁー、カラダも武器よ。顔だけじゃなくってね」


 テトラは妖艶な笑みを浮かべると、豊満な胸をアルストの腕に押し付けた。

 むにゅと腕が食い込む様子に、サフィストの方がごくりと喉を鳴らしてしまう。


 確かに武器だ――サフィストは確信した。

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