表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/54

39:満を持したぞ!

 赤い輝く月のもと。

 夜の闇に溶け込む黒城は、密やかに色めき立っていた。


「トワイライトが前線へ──」

「いよいよ我らの悲運が叶う時が来た」

「例の件は順調か」「計画は滞りなく」

「神官はどうなっている」「同行者は一名と」

「騎士団の件は」「移送陣は如何した」────


 廊下、広間、門前、

 あらゆる場所で兵士達が囁き合っている。

 長らく待ち望んだ瞬間がいよいよ間近に迫っていた。


 一方。

 重々しい空気を纏い、唯一沈黙を守る兵が立つ重厚な扉の先。

 王座を抱く壇上の周囲は、城内とは異なり静寂が満ちている。

 壁際を満たす兵士達。

 その全てが、沈黙を破る声を待っていた。


「──陛下」


 重々しい扉の開閉音が響き渡り、金髪の男が進み出た。

 次に銀髪の男性、続いて赤髪の男、最後に黒髪の青年が王のもとへ進んだ。


「トワイライトを確認いたしました」

「同行している神官はひとりだそうよ」

「トワイライトと適合可能な騎士の同行は確認されていない」


 四天王達が次々に報告を捧げる。

 最後に動き出した黒髪の青年がゆっくりと壇上に上がり、そして王の足元へ跪いた。


「──陛下。全ての魔物は貴女様のもの。

 全ての魔族は貴女様の虜。ならば、勝利は然り。貴女様のもの。

 陛下の愛らしさの前に、トワイライトを傅かせる時が来ました」


 黒髪の青年──シエンが言い終わるか否かのところ。

 床につかずに浮いていた小さな足先が、シエンの膝に乗る。


 ふわりと広がる薄桃色の長髪。

 左右のこめかみから伸びた小振りの赤い角。

 真っ白な肌。ふっくらとした小さな唇から、ちょこんと覗く牙。

 薔薇の如き赤い瞳。蝙蝠を思わせる羽。

 そして、フリルをふんだんにあしらった黒基調のドレス。


 真っ赤な靴でシエンの太腿を台にして立ち上がった魔王は、大きく腕を広げた。


「──無論じゃっ! いよいよ決戦の時が来たぞ!

 みなの者、あのにっくきトワイライトに敗北を宣言させるのじゃ!」


 その瞬間、静まり返っていた兵士達が口々に声を上げた。


「陛下ぁあー!」「麗しい!」「お可愛らしい!」「魔王陛下バンザイ!」

「生きてて良かった!」「踏まれたい!」「なんと愛らしいおみ脚!」「陛下最高です!」

「トワイライトに負けるはずがない!」「麗しいっ、神々しい!」「ああっ、可愛いぃいい!」

「我らが魔王の愛らしさを人間共に認めさせるぞ!」

「おーっ!!」「勿論だ!」「思い知らせてやるッ」「腐れ人間ども!」「むしろ浄化されろ!」

「我らが魔王の可愛らしさを広めるのだ!」

「うおぉおお……ッ!!!」


 鎧をガッシャンガッシャンと鳴らして騒ぎ立てる兵士達に魔王はご満悦。

 ついでに、太腿を踏まれているシエンは誇らしげだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ