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38:何と言おうとあなたは女神様です。

 馬車を使って移動すること三日。

 辿り着いた場所は、物々しい要塞だった。


 自然の洞窟を活かして作り上げられた拠点は、まるで巨大な鎧。

 暗がりの中、ランタンと松明だけが照らす道を進み、洞窟へと馬車のまま入り込む。

 あまり揺れないのは床が加工されている為か。アルストは、さほど興味がなかった。


「ご苦労様です!」「アルスト様がご到着だぞ!」「門扉を!」「開門せよ!」


 洞窟の通路を進んだ先は広い空間になっていた。

 騎士達の声が響き渡る。そこまで突き進むと、馬車がようやく止まった。

 けたたましく軋む音が開門の音だろう。


「アルストさまだってー、アルストもえらいんだね?」


 寝台部分で寝転がっていたイルディアが、両脚に勢いをつけて起き上がった。


「いいえ。この場合は神官の位自体が評価されているに過ぎません」


 やっと退屈が終わるものとわくわくしているイルディアに

 アルストはどうにも素っ気ない。


「でも、アルストって高位の神官なんでしょ? じゃ、アルストがすごいんじゃない??」

「いいえ」

「もうっ、アルストは細かいんだよっ!」

「それは正確ではありませんから」


 馬車内で騒いでも外には届いていないのか。

 開門の音で掻き消されているのか。

 特に何者かが近づいてくる気配はまだない。


 開門の音が静まり始めた頃になって、

 アルストはやっとイルディアを振り返った。


「いいですか。あなたは女神です」

「違うよ」

「いいえ。女神ということになりますので、そうしましょう」


 アルストは強引に押し切る気満々。

 しかしイルディアは少し不満げだ。


「僕は女神じゃないって言ってるじゃない」

「ええ、そうですね。しかし、今は女神です」

「くぅう……僕はっ」


 むすっとしたイルディアが声を上げかける。

 そこで、アルストは腕を伸ばした。

 触れるか触れないかのあたりで、イルディアに向かって人差し指を立てる。


「女神ですね? イルディア様。

 神官アルストは女神を連れて来る筈ですので、そうではなかった場合、

 どのようになるのかは、私にも皆目検討がつきませんがよろしいですか」


 カツカツ、と。

 何者かが近づいてくる気配がした。


「どのように、って。どういうこと?」

「たとえば、私がお傍につけなくなる可能性もあります」

「えっ、それはやだよっ」

「でしたら──おわかりですね?」


 コンコン、コンコン。

 馬車の扉がノックされた。

 その音で静かになったイルディアは、不満そうにしながらも渋々と頷いた。


(チョロいな)


 こうしてアルストは、イルディアを女神として仕立て上げることに成功した。

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