■色の絵の具の中には命が宿っている

SANチェックいるやつ

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夢を見ました。

絵を描く夢です。

あなたの。

ええ、あなたとは初対面です。

これきり会うこともないでしょう、おそらく。

僕はこれから絵を完成させるのです。

あなたの夢を見ましたから、わかっているのです。

あなたの。

いいえ、できません。

知っています。

ですが僕は絵を描くのです。

あなたも知っているでしょう。

そうです。

絵は完成します。

あなたのためではありません。

あなたのためにはなりません。

ええ、僕は無責任です。

絵は完成します。

僕は絵を描くのです。

そうです。

命が宿るのです。

あなたとはもう会わないでしょう。

合わないので仕方がないのです。

ええ、知っています。

あなたは反対するでしょう。

反対側です。

いいえ。

いいえ。

僕の与り知らぬことです。

でもきっとうまくやってくれるでしょう。

お帰りなさい。

いいえ、僕は知りません。

絵の具？

ここにあります。

たっぷりと。

汚さないでください。

カンバスに余白はありません。

木に釘を打ちました。

クロッキーは何処ですか。

見せることはできません。

あなたは此処で絵を見ることはできません。

もしかしたら、いつか見るのかもしれません。

いいえ、僕の所為ではありません。

あなたの所為でもありません。

あの人が悪いのです。

命は知っていません。

好きにするといいでしょう。

僕は絵を書きます。

待っている人がいるのです。

あなたも。

迷惑をかけるのは余所からの人です。

いつもそうです。

僕の所為ですか？

僕は何もしていません。

笑ってください。

そう、生贄の山羊というやつです。

あなたも知っているでしょう。

僕は羊です。

捧げものは神に届くでしょう。

願いは叶うでしょうか。

僕は叶えません。

叶わない方が良いと思います。

誰にでも悪いところはあるのです。

神もきっと見ているでしょう。

黙っていますね。

僕はあなたを知りません。

声がしました。

そう、あなたの所為です。

命はいりません。

僕が描くのです。

あなたを。

僕は知らないあなたのことを。

誰も知らないのです。

心臓は赤いのです。

ええ。

僕は責任を果たしました。

あなたも償うべきでしょう。

罪を。

知らないのですね、幸福なことに。

いいえ、不幸です。

悔い改める時が来なければ、負債は膨れ上がるばかりでしょう。

愛はありません。

世は不条理です。

悪人が得をするのです。

間違っています。

さあ、僕の領分ではありません。

僕は絵を描きます。

あなたも知っている通り。

死んでも絵は残ります。

燃えなければ残っていたでしょう。

残念なことです。

新鮮な絵の具が中に残っています。

覗くだなんて破廉恥な。

僕の前でそんな話をしないでください。

怒りましたか。

そんなつもりはありませんでした。

僕はただ絵を描かなければならないのです。

絵は完成させます。

いいえ。

あなたは見ることができませんでした。

パレットナイフは絵を描くためにあります。

あなたにこの色は似合いません。

僕はそう思います。

絵の具は毒です。

鮮やかな色は警告色です。

カエルもそう言っています。

あなたにはわからない色でしょうか。

僕には見えます。

見えなければ描けません。

星を砕いて絵の具にしましょう。

絵は完成します。

あなたの。

夢で見ました。

不幸にも追悼の歌がありました。

あなたが語り継がれることはないでしょう。

僕は忘れられます。

絵だけが残ります。

これは誰の絵でしょう。

依頼はありました。

怒られることを承知の上で尋ねます。

あなたの隣にいるのは誰ですか。

それはあなたです。

いいえ。

僕は忘れていません。

わけのわからないことを言っています。

そうです。

あなたです。

いつ聞いたのか記憶にないのです。

夜道では背中に気を付けて。

怪物よりも人間の方が恐ろしいのです。

人前に現れる怪物は人に変われているのですから。

人間が怪物になります。

主客動転です。

一人で震えています。

此処にいられるのは僕だけです。

言い訳を探しておいてください。

あなたは逃げるでしょう。

監視はありました。

見ないふりをしていたのです。

あなたのことを知っています。

違います。

いいえ。

僕の与り知らぬことです。

ええ。

僕は絵を描いています。

忘れていてください。

不幸なことでしょう。

未練などありません。

恨みはあなたが受け取ってください。

怨恨が絵の具になっています。

恨まれているのです、あなたは。

僕はあなたではありません。

呪いはありません。

全て偶然です。

可哀想に。

不幸なことでした。

不遇でした。

僕は絵を描くだけです。

絵を描いてほしいと頼まれました。

あなたの。

生きていれば見るかもしれません。

僕はただ絵を完成させるだけです。

依頼者は知りません。

はい。

さようなら、もう会うことはないでしょう。