村に住もう 2
話の都合上、今回は凄く短いです
支度を済ませて待ち合わせ場所である街の門へ行くと、シンさんとリョソンさん、そしてギルドマスターさんがいた。
やっぱり直々に出向いて来たらしい。
シンさんは私に気づくと、にこりと優しく笑って手招きした。
「来たねソラちゃん、こっちこっち。ギルドマスター、この子がお話した子です」
「は、初めまして。ソラ・マイケです。よろしくお願いします」
「ほぉ……この子がなぁ。俄には信じがたいが……まあ、真偽は村に着けばわかるか。嬢ちゃん、俺はギスタ・ルドマスだ。よろしくな。同行者はまだいるんだが……ちぃと事情があって、後から合流する事になってる。とりあえず出発するぞ」
「は、はい、わかりました」
廃村へは、当然ながらゲームのようにパッと移動できるという事はなく、地道に歩いて向かう。
時々出現する魔物を警戒しながら進む為か、皆の口数は少ない。
どのくらいそうして歩いただろうか。
ふいに幾つかの馬の蹄の音が聞こえてきた。
それは段々と大きくなって、こちらに近づいてきているのがわかる。
「お、来たかな」
ギルドマスターさんがふとそう呟いて足を止め、音が聞こえるほうへと体を向けた。
その様を見て、全員がそれに倣う。
そのまま少し待っていると、数頭の馬が見え、次第に馬上の人物もはっきりとしてきた。
その中の一人を見て、私は息を呑んだ。
格好こそ冒険者風に装おっているけど、あの金茶の髪と赤い瞳は。
「嘘……」
まさか、領主様まで直々に来るだなんて……!
周囲を囲んでいるのは護衛の方々だろうか。
揃って冒険者風に身なりを変えている。
領主様方は私達の目の前で馬を降り、領主様は私達を一瞥した。
その視線が私を捉えると、口を開く。
「やはり君か。数日ぶりだね」
場所は違えど、領主様の言葉はゲームと同じだった。
最も、領主だとは名乗られなかったけれど。
★ ☆ ★ ☆ ★
やっぱり普通に歩くと時間がかかるもので、私達が廃村に辿り着いた時には、魔物討伐のメンバーが退治を終え、帰路につく所だった。
彼らは突然現れた、ギルドマスターさんを含めた私達に驚き、そして私が廃村の浄化ができるという話を聞いて更に驚き、全員の視線が集まる中、私は浄化の術を使う事になった。
それからはほぼゲームの通りに事が進んで、私は領主様と共に領主館へと行き、お金と村に住む権利を手にして、ふかふかのベッドへとダイブする。
「さて、それじゃあ今日も明日以降の予習を始めようかな」
ベッド上をゴロゴロと転がり、その広さとふかふかさを堪能すると、私はむくりと起き上がって、特殊能力を発動させた。