おまけ、ゲームをする 5
領主館に着いた私は、聖女のお姉さん達が来るまで自分が滞在する部屋へ案内されるとルガルのお腹の袋から出して貰い、部屋の中央に立ってぐるりと周囲を見渡した。
どうやらここは、以前ゲームをした時にソラキャラが泊まった、あの部屋のようだ。
それならば、ベッドはとてもふかふかしているはず!
そう思った私はすぐさまベッドに飛び乗り、思う存分それを堪能した。
ルガルはその間黙ってじっとこちらを見ていたけれど、私が満足した事に気づいたのか、近づいてくる。
「ソラ。クーガルーゼン様は、貴女の特殊能力に新たな能力を追加しておくと仰っていたのでしょう? 落ち着いたのなら、今のうちにそれを確認しておしまいなさい」
「あっ! はい、そうですね。わかりました! 特殊能力、起動!」
ルガルに促され、私はすぐに体を起こしてベッドのふちに腰かけると、特殊能力を起動させた。
するとすぐに手の中に現れる、ゲーム機、3〇S(仮)。
それをスタートさせると、やはりソラキャラが現れ、あらすじが流れる……はずなのだけれど。
『こんにちは! 私、ソラ! 今回は、クーガルーゼン様が新しい機能を追加されたから、まずはアップデートするね! ちょっとの間、そのまま待っていてね?』
「え? アップデート?」
それは一体、何だろう?
初めて聞く言葉だ。
「あの、ルガル。アップデートって何か、知ってますか?」
「アップデート? ……そうね……私も詳しくはないけれど、クーガルーゼン様から新しい機能を追加されたと言っているのだから、その機能を取り入れているのではないかしら? 機能の更新をしている、と考えれば良いのではない?」
「機能の取り入れ……更新……ふぅん?」
『お待たせ! アップデートは完了したよ!』
「あ」
終わったらしい。
すぐに済むものなんだね、なるほど、なるほど。
『じゃあ新機能を紹介するね!』
ソラキャラがそう言うと、パッと画面に文章が現れ、その横に教鞭を持った、ちっちゃくなったミニサイズのソラキャラが現れる。
教鞭で文章を指しながら、ソラキャラがそれを読み上げていった。
『新機能1! ハーデンクーガで予習した事により、現実で災難を回避した為にハーデンクーガと現実とで差異が出てきたから、それを定期的に自動修正して、現実に沿うようにする機能が出来たよ! これでややこしくなくなるね! ソラ、嬉しい!』
「あ、それ、確かに嬉しい。良かった」
『新機能2! "黒い影"の更正施設になる塔と連動される機能が出来たよ! "黒い影"の困ったちゃん達を捕まえて塔に入れたら、ここから更正の為のお世話をしてあげてね! 現実で直接お世話すると襲ってきて危ないからね、これで安心だね! ソラ、嬉しい!』
「う、うん、襲われるからね。死にたくないし、助かるね、うん」
『新機能3! 聖女のお姉さんと合流して旅に出る日の朝から、ガチャが引けるようになったよ! ガチャは毎日引けるから、朝引きに来てね! 回数は最大五回まで! 引くのにはガチャコインが必要だよ! これは毎日三枚貰えるからね! 引かなかった分のガチャコインは翌日以降に持ち越しできるよ!』
「ガチャ?」
それは……あ、確か、妹が、携帯電話……えっと、スマホ? を買って貰った後、両親におねだりしてた、あれかな?
ええと、欲しいものが出ないから、かきんしたい、とかなんとか……。
『ガチャの種類は、聖女のお姉さんの仲間達の中から出る、その日に私を主に気にかけて側にいてくれる"護衛ガチャ"と、旅を快適にする道具等が出る"お役立ち品ガチャ"だよ! それぞれ一日五回まで引けるけど、ガチャコインは毎日三枚しか貰えないから気をつけてね! 主に引くのは"護衛ガチャ"で、ガチャコインが余ったらたまに"お役立ち品ガチャ"を引く、くらいに考える事をオススメするよ! まあ、人となりがわかってきて、お気に入りの護衛ができたなら"護衛ガチャ"は引かずに直接お願いして、"お役立ち品ガチャ"だけを引くようにするのも一つの手だけど! ちなみに課金はできないからね! あれ、ハマり過ぎると破産するから、クーガルーゼン様が駄目だって!』
「え? は、破産!?」
『新機能の説明はこれでおしまい! じゃあゲームを始めるよ! 新しいハーデンクーガを楽しんでね!』
「ガ、ガチャって、かきんって……破産するんだ……怖い……。そんな事できるようにならなくて、良かったぁ……」
ガチャの課金の誘惑は……恐ろしいです……
引きたいけど引けない、ふらすとれーしょんぞうかちゅう。




