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ショートショート

ショートショート スマートフォン

作者: 夕凪 もぐら

 



 ふと、私はスマホから顔を上げた。


 仕事の昼休み。狭い社員食堂で無言の私を含む四人は、全員スマホを弄っている。


 最近の若者はスマホばかりを触って、近くにいる人を見ようとしない。遠くにいる人ばかりを見て、側にいる人を大切にしない。


 実に嘆かわしいが、かく言う私も今では四六時中スマホを見ている。


 私が若かりし頃は、スマホどころか、ケータイも其処まで普及しておらず、それでも様々な人と繋がっていた。


 激動の時代。始めて数字しか打ち込めないポケベルを持ち、暗号で恋人に愛を語らい、PHSをもったときには、その通話料が六桁に届いて親に叱られたこともある。


 今ではインターネットを使い、SNSで世界中、ありとあらゆる人と繋がれる。


 すぐ側にいる大事な人を蔑ろにして、何が世界中だ! 実にけしからん。けしからーんぞ。


 そう私が現代社会に憂いているその時、てぃんこーんと、私のスマホにラインの通知。


 向かいの席に座っているマリちゃんからである。目の前にいるのだから、顔を見て喋れってんだ。



『係長♡ 今夜、食事いきませんか?』



 私が顔を上げれば、上目遣いのマリちゃん。


 ……やっべ、やっぱスマホ最高だわ。





 



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― 新着の感想 ―
[一言] 私はポケベルもPHSも持ったことがなかったので、初めて携帯電話を持った時は、本当にうれしかったです! 話し相手は嫁だけで、しかもすでに結婚していたので、緊急の用事にしか使いませんでしたけど!…
[一言] 初めて作品を読ませていただきました。 絶対この主人公、口だけでいい加減なタイプなんだろうなあ、しかし最後はどうなるんだろうと思いながら読み進め、おもわず「くっそwww」と言ってしまいました…
[良い点] 面白かったです。 通信機器が愛を語らうものだということがよくわかりました。世代ではありませんが、ポケベルというものが確かにありましたね。 マリちゃんのあざとい感じが良かったです。
2017/03/28 08:12 退会済み
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