結果とスイカ割り
さあ、一斉にスタート!とはいかないのが海......。だってプールみたいに飛び込んだり、端からよーいドン!はできないもの。
膝ぐらいの深さのところからすでに泳ごうとしている人もいれば、どこまで歩くのよ、もしかして泳げないんじゃ?と思わせる人もいる。
旦那様たちはと見れば.........おお、二人ともまともに泳いでますよ。先頭集団にいますわ。やるじゃないですか。
結構距離があるからお義父様、大丈夫かしら。途中でばてたりしないかしら。意外と旦那様がばてたりして。一応小舟が横を並走してくれているけどちょっと心配です。
しばらく見ていると、何やらプカプカと。あ、あれは、もしや.......扇子!
あらら、どなたのものか知りませんけど、さっそくやらかしちゃった方が。ハチマキは見えないから、扇子だけが外れちゃったのかしらね。
でも舟に誰かが乗った様子はないから、外れてもそのまま泳いでらっしゃるみたい。これはなかなかハードな行事だわ。
今のところ、我が家のお二人は順調。と、そこへ、パ、パーン!ド、ドーン!
きゃあ、何!何の音?
見るとしょぼい花火のような爆竹のようなものを新たに現れた舟が先頭集団に向けている。
えっ?何やってんの、あの方たちは。
と、今度は反対側から背びれが......って、背びれ~!きゃあ~、サメ~!
私を含め数人が騒いでいるのをしり目に、お義母様たちは悠然とママ友トーク中。
何で平然としてるの?
夫と息子のピンチですよ!
「恒例行事よ。一番を取るための足の引っ張りあいと言う名の余興よ。」
はぁ?余興?足の引っ張りあいと余興は並列に並び得るのか?いやいやいや、危険行為でしょう。
「そのために舟が一緒にいるでしょう。」
いやいや、いるから何してもいい訳ではないでしょう?そのためにいるわけではないでしょう?何か存在理由がすり変わっている気がするのは私だけ?
他にも紙吹雪が投げられたり(妨害になるのか?ただ、海を汚してるだけなんじゃ?)、大きなサイレン音が鳴らされたり(うるさい!)別の小舟の上で美人のお姉さんが最低限の布切れをまとい踊っていたり。(サービスですか?)
お義父様の頭がずっとそちらを向いているせいか、隣のお義母様から黒いオーラが......。
正々堂々という言葉はどこいった!というぐらい、様々な妨害が。
確かにここまで堂々と派手にやっていると、妨害と言うより余興ですわねぇ。でもこれ、海の神様に捧げ物をする人を決める行事だったわよね。何か有り難みを感じないのは私だけ?
そうこうしているうちに、先頭集団の五人ほどでラストスパート。
ああ、後少し、頑張れ、もうちょっと!
や、やったぁ!旦那様一着!
お義父様は四着!我が家すごいじゃない!
お義母様は当然でしょと言いたげなドヤ顔。周りの人たちからの祝福や冷やかしに答えている間に、旦那様たち参加者が戻って来ました。
おお、旦那様、晴れやかな自慢げなお顔、ふふ。
「おめでとうございます。かっこよかったですわ。」
「ありがとう、アンジェリーク。今年は踊り子さんのおかげで妨害が少なくて助かったよ。」
例年、参加者同士でも、泳ぐふりして水をかけたり蹴飛ばしたりという妨害があるのだそうな。でも、今年は皆が踊り子さんに夢中で内からの妨害がほとんどなくスムースに進めたらしい。男って... ...。
この後、テントの下に臨時に作られた祭壇で、海神様へ今年一年の安全祈願をして儀式は終わり。
ようやく、参加者たちもフンドシから服に着替え帰るのかと思ったら、「ここからがメインだよ。」と。
何が始まるのか?
何やら次々に大きな緑色に黒い縦じまの入った丸い物が運ばれる。これは、スイカと言うヤポナ特産の瓜だそうだ。夏の果物で赤い果肉に種が散らばり、大変ジューシーなのだとか。
美味しそうなのは良いけれど、まるごと持ってこなくても切り分けてから持ってくれば良いのでは?と思っていたら、とんでもない分け方が始まった。
砂浜の上に敷物をしいてスイカを置き、棒で叩き割るのだ。
驚いていると、まずは見てろとばかりがっしりした青年が歩み出て、目隠しをしてスタンバイ。叩き割るだけでも驚きなのに目隠しまでして大丈夫なのかと見ていると、恋人か奥さんらしき人が、「こっち、こっち!右、右、ああ~行き過ぎ!半歩戻って!」
「だから、戻ってってば!ああ~、戻り過ぎ~、もう少し右!もう、何やってんのよ!」
だんだん、喧嘩腰になってきているけど大丈夫?
ようやくスイカの前まで来て、「ストップ!そこでおもっいきり叩けぇ!」
ザシュッ!
えっ?何故?真ん前だったのに?空振り......。
「何やってんのよ~、もうちょっとだったのにぃ。」と女の人にこずかれた青年は苦笑い。周りは「何やってんだよ!」と、大笑い。
たどり着くのも当てるのも結構難しいのね。
次は、男の子が挑戦しお父さんが一生懸命声をかける。
よたよたしながら、なんとかたどり着いた。
少年はおもむろに棒を振り上げ......カーン!あら、良い音。なのに、スイカは割 れず。少しヒビが入った模様。
ここまで来ても、力なくばダメなのか。スイカ割りって難易度高いわね。
「じゃあ、はい。」
旦那様から棒を手渡された。
えっ、私がするのぉ。
初心者には難しくないかしら?でも、こんなことに、ベテランだのプロだのはいないのか。
よし、やってみようじゃないの。
お義母様が目隠しを結んでくださり、スタート位置に、お義父様が立たせてくれる。少し離れたところから旦那様の声がする。
さあ、集中、集中。
旦那様の声の通り動き出す。
「アンジェリーク、こっち、こっち。僕はここだよ~。こっち~。」
... ...旦那様、こっちだけじゃわかりません。周りからの囃し立てる声がうるさいし、こう開放的だと声がする方角なんて大体しかわからないですよ。
見かねたのか、お義母様が、「アンジェちゃん、左よぉ、そうそう、そのまま真っ直ぐ。ああ~ずれたわ~少しだけ右よぉ、そうそうその調子よ~。」
「そこで~、はい!」
ガシュッ!
「ぎゃあ~!!」
えっ?
目隠しをとると、旦那様が尻餅をつき、お義母様は「あら、惜しい。」
周りは大笑いだけど、お義父様は苦笑い。どうやら私はスイカの横すれすれを通り抜け、声をかけてた旦那様めがけて躊躇なく、棒を振り下ろしたらしい。
お義母様の「惜しい」は、どこにかかってたのか、聞かぬが華かしら?
その後、お義母様の声かけのもと、お義父様が見事にスイカを叩き割ったのを初め、数人の人が割ったボロボロの形のスイカを食べました。
甘くてシャクシャクしてて、みずみずしい。初めて食べましたけど、これは美味しい。オランシアの瓜はおかずだけど、確かにこれは果物だわ。
私のヤポナでのお気に入りに追加ですね。
隣で旦那様が、「アンジェリークの一撃が当たっていたら僕もこうなってたかも。」
......。
わ、わざとじゃないですから~、ごめんなさい。




