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それぞれの一日

『ウラシマ家にて』



「ねえ、あなた聞いた?お隣さん家に龍が来たの。」


「ああ、職場でも話題になったよ。でも、カキノウチさんとこだからなぁ。あ~、またあそこねってことで話は終わっちゃったな。」


「それがね、その龍が来た理由がね、息子に会いに来たんですって。」


「息子?あそこ龍なんて飼ってたっけ?」


「なんでも、亀のビシ君って龍と亀のハーフなんですって。」


「へ~、そうだったんだ!でも龍の遺伝子、どこに置いてきちゃったんだろな。ははは。」


「もう、そんなこと言わないの。大きくなったら龍っぽくなるかもよ。」


「変身すんのかよ、そりゃ見てみたいもんだな。」


「それより、祖先の言い伝えに出てくる竜宮城って龍のお城でしょ。そして連れて行ってくれるのが亀。これは運命よ!半信半疑だったけど、やっぱりビシ君が竜宮城に連れて行ってくれるのよ!」


「でもまだ子どもだから無理ってカキノウチさんも言ってたじゃないか。」


「ミヨでも間に合うかどうかって言ってたわよね。だからビシ君に頼んで、直接お父さん龍にお願いしてもらいましょうよ。そしたら、私たちでも行けるかも。」


「そこまでして行きたいか?俺は爺さんになるのは嫌だぞ。」


「玉手箱開けなけりゃ良いだけじゃないの。それより、海の中でのご馳走よ。新鮮なんてもんじゃないわよ。ああ~、食べてみたいわ。」


「お前、海の幸大好きだな......。(目の前で鯛やヒラメの舞い踊りを見ながら、鯛やヒラメの刺身食うのかよ!)」




『鯉の池にて』



 ス~イス~イ。


「おい、紅白。」


 ス~イス~イ。


「おい、紅白ってば。」


 ス~イス~イ。


「紅白!てめえ、無視してんじゃねえよ!」


「えっ、ああ、僕?ごめん、気付かなかったよ。」


「......。」


「で、何か用?」


「お前いつになったら結婚すんだよ。」


「なんでそんなこと聞くの?」


「お前が独身だから、女どもが皆お前ばっかりちやほやして、俺たちなかなか相手してもらえないんだよ!」


「え~、僕に言われても......。」


「情けないこと言ってんのはわかってるよ!でもこの狭い池じゃ大問題なんだよ!お前早く一人に決めろよ!」


「一人ったって今いる子たち、僕より綺麗な娘いないんだもん。選びようがないよ!」


「......ナルかよ!!」





『大金魚の池にて』



「はぁ~、ビシ君今日もカッコいいわぁ。」


「......。」


「はぁ~、毎日鍛えられてますます甲羅が固くなってるみたい。ウットリ。」


「......。」


「首もここに来たときより太くなってエロいわ~。」


「......。」


「あそこも大きくなったかしらん。」


 ゾゾゾ~ッ!


「メグミちゃ~ん!助けて~!痴女がセクハラする~!!」


 フシャー!!!

 バシャバシャバシャ!!!




『カキノウチ家の倉庫にて』



「番頭さん、そろそろやばいんじゃないですかね。」


「だよねぇ。でも、どうしたらよいものかねぇ。」


「毎日のノルマも辛いですよ。」


「他に使えないかねぇ。」


「加工しようがありませんよ。」


「お裾分けも、最近はっきり断られることも増えてきたよねぇ。」


「無理強いはできませんしね。」


「カキノウチの評判にもかかわるからねぇ。」


「でもいくら好意とはいえ、毎週じゃありがた迷惑ですよ。」


「それ、彼の前で言える?」


「......無理です。」


「うんうん、私だって無理だよ。」


「ここは若旦那にガツンと言ってもらいましょうよ。」


「だねぇ。若旦那様に丸投げしましょうかねぇ。」


 彼らの目の前には倉庫の半分を占めるまでになった、雷獣から送られた《雷おこし》の山が燦然とそびえたっていた。



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