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私の結婚式

 今日は私の結婚式。

 とうとうきちゃいましたわ~緊張しますわ~。


 今日は当日なので父とオランシアの外交大臣がいるが、後は見知らぬ人ばかり。お付きのメイドさえ、もう貴族ではないのだからとつけてもらえず。


 もちろんカキノウチ家に使用人はいるけど、皆さん初めましてだもの。 緊張しますわ。


 しかし、戦争で蹂躙された母国の救世主であるこの国には、もちろん恩はあるけれど、何故私?


 普通は王子様とお姫様が、国同士の架け橋になるものなんじゃないの? どちらもちょうどいいのがいるじゃないですか。 よっぽど相性が悪かったのかしら?


 しかし、ナランザを守るために兵を出すってどれだけナランザが好きなのよ、この国は!


 周りを見ても皆、黒髪黒目ばかり。いくら島国とはいえすごいわね。 たまに国際結婚があっても子どもは黒髪黒目だそうで。


 なにやら執念さえ感じるほどの強力な遺伝子だこと!


 私はほとんどのオランシア人同様、金髪碧眼。これと混じっても黒髪黒目? いやいや、負けてなるもんか、といってもどう頑張ればいいのかわからないけど。 なんか悔しいですわね。


 はぁ~、いろいろ考えて意識をそらそうとしてもやっぱりだめてすわ~!



 し・ん・ど・い!



 この花嫁衣装、何なの? 重いんですけど。 しかも動きにくいし。 トイレどうやっていくの?


 オランシアでは純白のウェディングドレスが当たり前だけど、この国では白無垢と言うものを着る。


 今、着ているのがそうだが、これがまた見た目以上に苦しい。


 お腹にはタオルを巻き、せっかくの括れをなくすという、女性の努力をなんだと思ってるのよ~と言いたい仕打ちがなされ、紐でぐぐっと締め付けられている。


 白一色なのでそうは見えないが、結構重い。時間がたつにつれ、肩も凝ってきた気がする。


 なのに私の苦労を知ってか知らずか、棒にしゃらしゃら音のする紙の束をつけたものを振りながら、おじいさんが何やら祈り続けている。


 ヤポナの言葉は必死で詰め込んできたけど、何故かおじいさんの言葉はほとんど聞き取れない。 ヤポナ古語なのかしら?


 しかし、長い。


 言葉や流れが判らないから、いつ終わるのかもわからない。 つらい。


 隣の花婿さんは羽織袴と言うものをきている。白無垢より楽そう。ぱっと見は平然としているように見えるが、始まりの頃に比べると、微妙に眉間にしわが。


 ですわよね、やっぱりしんどいですわね、長いですわ。


 父を見ると... ...おいっ、船こいでるじゃないですか。起きてよ~娘の結婚式で寝ないでよ!


 いや、まあ、気持ちはわかるけど。 でも、我慢して気合い入れてよ、もう。


 そうこうしているうちに、ようやく終わり、次は契りのお酒を飲む儀式。


 三三九度と言うらしい。


 一気に飲んではいけないと、式の前に教えられた。面倒臭いわね、意味わかりませんわ。


 でも、逆らう理由もないので小分けに飲む。


 オランシアでは指輪の交換と誓いのキスがあったが、ヤポナでは何も交換しない。キスも人前でするなんて!という意識らしい。


 キスはどうでもいいけど指輪は欲しかったわ。結婚指輪どころか婚約指輪さえないんだもの。 地味にショックだわ。大きなダイヤモンドもらえると思って楽しみにしてたのに!ちぇっ。


 とりあえず、やっと式が終わる。 これで私はとうとう人妻。 これからヤポナでの生活が始まる。


 新婚とはいえ、渡り廊下を隔てた隣に義両親が住み込みの使用人たちと住んでいる。 新婚旅行は旦那様の仕事の都合で後日ということで、二人の寝室。


 さてさて、明日からの新生活、どうなることやら。



 「ふつつかものですが、よろしくお願いします。」


... ...ちょっと!それ私のせりふですよ~。



 先に言わないでよぉ。



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