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ミッション7 初めてのミッション㊦

今戦いが始まる・・・。

 そうしてその日の夜8時30分。生徒会メンバーは生徒会室に集合していた。


「これより今日のミッションを決行します。私と小西が先陣を切るのでほかは後衛を頼みます」


生徒会長が宣言した。これは絶対従わなきゃいけないな。俺まだこれの使い方知らないから。俺の右手には一振りの刀があった。


契約時に手に入れた刀だ。『牙狼丸』これが俺の相棒。でもどう使えばいいのかがまだわからない。まあ、今日のミッションは見学みたいなものだからな。俺は余裕しゃくしゃくだった。


「了解」 


いつものはきはきとした声ではなく、ただ無機質な声を出す小西さん。ここで俺は少し不安になってきた。


「「「了解」」」


俺たち3人も同じく承諾する。


こつ こつ こつ こつ 


5つの靴音が学校に響き渡る。学校にはすでに5人以外の生徒はいない。


さらに学校内にも誰もいない


どうやら会長が結界を張り、学校に近づいても入る気をなくさせる効果を持つ結界を張ったそうだ。ほかの生徒には被害にあって欲しくないことからだった。そしてようやくついたそこは家庭科室。例の女子生徒の声がするところだ。中からはうわさどおりの泣き声が聞こえてきた。


「・・・・うう・・ひぐ・・えっく・・なんで??・・・なんで私が??・・・なんで??・・・」


「ひっ!!」


俺は思わず声を上げてしまった。


ごちん!! 


刀の鞘で頭を思いっきりたたかれた。会長だった。


「男なら、これくらいのことでびびるのではない。それともお前は男ではないのか??」


「んなわけないだろ!!わかったよ!!悪かったよ!!これっきりだ!!こんちくしょう!!」


俺はやけくそ気味に叫んでみる。それを見ていた4人はくすくすと笑っている。って俺何かおかしなことしましたか??ああ・・・小西さんまで・・・。俺悲しすぎる・・・。そんなこんなで俺たちは時間をつぶし、時間通りに9時に家庭科室に突入した。武装は以下のとおり。

・会長 日本刀(俺と似たもの)『鬼爪丸』

・松本副会長 ビデオカメラ(どうやら彼女は先頭というよりも対悪霊のための情報収集者らしい)

・花田書記 御札(彼女の家はどうやら神社らしい)

・小西さん(会計) 日本刀(俺や会長と同じ)『竜神丸』

・俺(副会長)日本刀 『牙狼丸』


 俺たちの目の前に広がるのは暗い暗黒の空間のみ。花田さんは教室中に御札を貼っている。


「花田さん、何をしていらっしゃるのですか??」


「このままの空間では悪霊さんは出てきてくれませんから。無理やり引きずり出してやるのですよ。うふふふ」


こわ!!人が変わっちゃったよ!!そう思った瞬間、目の前がまぶしすぎる光で包まれた。外の結界でほかの人には気づかれないらしい。


(会長がこっそりと教えてくれた)そうして俺たちの目の前には1人の女子生徒がいた・・・。というよりも女子生徒だったといったほうがいいかもしれない・・・。顔は涙や鼻水でぐちゃぐちゃ・・・。体は骨と皮の状態で、背中からくものように8本の足が出ていた。そう、家庭科室中が蜘蛛の巣だらけだったのだ・・・。


「ちっ!!レベルCか。今日は少し時間がかかるかもしれないな」


会長が珍しく弱気な発言。


「大丈夫で巣や会長。隣には小西さんがいますし、バックには花田さんがいます。あ・・・神崎君は今回は荷が重いかしらね・・・」


うう・・・、俺今日役立たず??


「そんなことよりもいくぞ!!」


会長かっこいい~~~。


「はい!!」


小西さんいつもの人柄とのギャップが大きいです~~。


2人は悪霊に向かってかけだす。花田さんが後ろからお札で悪霊の攻撃を無力化して会長と小西さんがそれぞれ足を切り刻んでいく。きられるたびに悪霊は奇声を上げる。鼓膜が激しく揺さぶられる。そんな時俺の頭に何かが映像として流れ込んできた。なんだこれ・・・。

・・・・・

・・


どうやら夕方らしい。ここは・・・教室らしい。俺は1人入り口に立っていた。そして目の前には悪霊化するまえの女の子と同級生らしい男の子がいた。


女の子は何か包みを渡しているようだ。クッキーだった。男の子はそれをうれしそうに食べていた。女の子もうれしそうだ。


どうしてこんなにも笑っている子が悪霊化してしまったのだろう・・・。俺には理解できなかった。そしたら声が聞こえてきた。


「・・・くん・・・。私あなたのことが好きです。付き合ってください」


どうやら告白らしい。なんだかここにいてはいけないような感じがしたので立ち去ろうとしたのだが足が鉛がついたように動かなかった。なんなんだ??これは・・・。


「よろこんで!!」


うわっほ~~い。男のこの方はおっけ~~出してくれましたよおめでとうございます!!でも悪霊化するってことはこの後何かがあったんだろうな・・・。そうするとまた映像が変わった。すると目の前にはあの男の子とまた別の女の子がいた。


なんだかいやな予感がしてきた。


「・・・くん。私あなたのことが好きなの。付き合ってくれませんか??」


「ああ、いいぜ!!」


なんだと??お前には今彼女いるだろ!!俺に怒りが生まれ始めた・・・。


「ほんと??やった~~。でも今の彼女はどうするの??」


「ああ、あいつはもう飽きたから捨てることにするよ。今はお前が好きなんだよ」


「きゃ~~~うれしい~~」


信じられなかった・・・。どうやらあいつは女たらしのようだ。もてることを口実にほいほいと女を替える・・・。許せん!!彼女のみにもなってみろ!!お前のために毎日弁当作ってくれてたじゃねえか!!お前はそれをおいしいといって笑顔で食べてたじゃねえか!!そんな優しい彼女の思いをお前が踏みにじったんだ!!


俺がそう思っている隣でどさっと言う音が聞こえた。振られたあの女の子だった。どうやらいつまでたっても来ない彼氏を探しに来たのに聴きたくない言葉を聴いてしまったのだろう。その姿を見た彼氏は逃げるように新しい彼女をつれて逃げるようにかえって言った。


彼女は泣いていた・・・。抱きしめてあげたいと思った・・・。こんなにもかわいいのに・・・。一途だったのに・・・。信じていた人に裏切られてしまった彼女の心はどれほど傷ついてしまったのだろうか・・・。


「なんで・・・??何で私じゃだめなの・・・??ねえ・・・なんで??」


彼女はのろのろと歩き出した。俺はそこからまた動けなかった。そして気づいたときには家庭科室だった。目の前には遺書を置いて首をつろうとしている彼女がいた。俺はやめろと何度も叫んだ・・・。しかし聞こえるはずもなかった。くやしかった・・・。だってこれは悪霊となる前の彼女の記憶だから・・・。


そうして苦しみながら彼女は死んでいった。俺は見てることができなかった。見てることしか、聞いてることしかできなかった。動けないから・・・。何で動けないんだ!!何がおきてるんだ俺には!!手には刀、『牙狼丸』があるというのに・・・。


カタカタと刀が動く。まるで俺を抜けといわんばかりに・・・。俺はお前を抜くことはできない。だって体が動かないから。そうしたら目の前に妹の藍華が現れた。


『お兄ちゃんはこの人のことを助けたい??』


妹が当たり前のことを聞いてくる。


「当たり前だろ??あんなに傷つけられたのに・・・ぼろぼろのままで・・・死んでいいはずないだろ!!」


俺は藍華に向かって今までにないほどの怒りをぶつける。藍華は少しびっくりしていたが、すぐに薬と笑った。


「何がおかしい・・・。おれは当たり前のことを言っているんだ・・・」


『ここで彼女を助けても現実では生き返りはしないんだよ』


「そうだろうな・・・。でもな・・・いつまでもここに未練を残してたら次に進めないだろ??この子の魂はずっとここにあった・・・。誰にも救われず・・・。誰にも気づかれず・・・。ずっと一人ぼっちだったんだ・・・。だから俺は・・・」


そう・・・俺が今したいと思うことは・・・。


「俺は生徒会副会長だ!!学校にいる生徒全員の幸せを願うのが俺たちの仕事だ!!だから俺は彼女の魂を救ってやる!!」


俺は曇りのない答えを言い放つ。そしたらパリンという音がしたと思ったら、先ほどの先頭の風景に戻っていた。会長たちは方で息をしていて、花田さんはすでに御札がきれかかっている。松本さんはすでに10本以上のビデオを映している。どうやら俺は相当の時間悪霊の記憶を見ていたようだ。


「すいません。なんだか悪霊の記憶らしきものを見ていました」


「悪霊の記憶??それよりも何とかしなくちゃ・・・。いくらきってもすぐに回復しちゃうのよ。会長も小西さんも疲れが出ていて・・・」


「わかりました・・・」


俺はそういって悪霊の前に立つ。やはり涙を流している。つらかったよな・・・。悲しかったよな・・・。恨んだろうな・・・。でもそんなものは俺がすべて切ってやるぜ。お前は今負の鎖につながれている・・・。俺にはわかる・・・、藍華がそう教えてくれたからな。


「会長!!小西さん!!俺がやりますのでどいてください!!」


「佑介くん??」


「佑ちゃん??何するつもり??」


彼女を救うには正の霊圧をかけてあげるしかない。しかしどうすれば・・・。


『お兄ちゃん・・・大丈夫だよ。藍華がいるから。お兄ちゃんと私なら何でもできるよ!!』


「くすっ。そうだな」


今の俺はやわらかい笑顔になってるだろう。久しぶりだな・・・。


『私の霊気を『牙狼丸』の刃の表面にコーティングするから。後はお兄ちゃんの好きなようにしてね』


「おいおい!!最後の最後で俺に振るのか??大仕事を俺だけに??」


『大丈夫だよお兄ちゃんなら。だって刀の問いかけが聞こえたんでしょ??』


そうだ・・・。あの時俺に問いかけていてのだ・・・。俺たちならできると・・・、だからお前はやるのかと・・・。そして俺はやりたいと思った。なら答えはひとつ・・・。


「俺は悪霊の魂を救う!!!」


すると俺の右腕と刀が一体になった感じがした。今なら何かができる気がした。藍華はすでに完了したらしく見ているだけだ。ほかの役員も俺のことを見ている。悪霊は俺と正面で退治し、今にも襲い掛かろうとしている。俺は入門書で興味を持った構えを取る。抜刀の構えだ。


「俺はお前の魂を救ってやる・・・。だから少し待ってろ・・・」


そうして俺は一気に抜刀した。刀の刃からは白い残檄が飛びだした。それは悪霊をすべて包み込んでいく。悪霊は悲鳴を上げて消えていく・・・。花田さんはすぐに御札を使い、成仏陣をはり、その中に女子生徒が倒れた。傷1つない状態で。おそらく死ぬ前の姿だろう。きれいだった。そうして彼女はゆっくりと起き上がると俺たちに笑顔を作り・・・言った。


『ありがとう』彼女は光に包まれて消えていった。残ったのはさっきの家庭科室。何事もなかったかのようだ。


「ご苦労だった。佑介、今日は助かった。このままだったら私たちはやられていたかもしれない」


「いえ・・・俺はできることをしただけですから」


「そういって、できることがすごく大きいことなんだよ佑」


「佑??」


「ごごごごくろうさまででです」


「緊張しすぎですよ花田さん」


「ありがとうね、佑ちゃん。おかげで助かったよ」


「どういたしまして」


「今日の戦いは俺が責任を持って分析してくるから明日の放課後生徒会室でミーティングということで」


「みんな、異議はないわね??」


「「「ないで~~す」」」


「ふう、それじゃあ今日は解散」


「「「「お疲れ様でした~~」」」」


そうして俺たちはそれぞれの家に帰っていった。俺と藍華の初めてのミッションは成功だった。しかしこれからも厳しいミッションが入ってくるんだろうな・・・。そう思いつつすぐに眠りに落ちてしまう俺だった。


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