ターゲット3 生徒会の正体 ㊤
非日常の生活が始まる。
非日常の出来事が起こってからの翌朝。俺はいつものとおりに眠い目をこすり、2階の部屋からリビングに降りた。リビングにはいつものように妹の愛華が朝食と弁当を作っていた。彼女の姿はかすかに透けていたのは、機能の戦いで悪霊に死を与えられたためであり、俺の守護霊になったためであった。
『あ、お兄ちゃん。おはよう』
「ああ、おはよう。霊になってもいつものように作ってくれるのか。ホントにありがとうな」
『いいんだよ、私はお兄ちゃんがおいしそうに食べてくれるだけで幸せだから』
妹は屈託のない笑顔で言う。彼女にも俺ではない別の男との付き合いもこれからの生活で見つけることができたかもしれないのに・・・。昨日のことさえなければ・・・。俺があそこで・・・。
『お兄ちゃん??何そんなに深刻な顔してるの??まさか私が死んだことを自分のせいだと思ってる??』
何で分かった??お前はエスパーか??
『私はおにいちゃんのことなら何でも知ってるよ。伊達に16年一緒にいたわけじゃないんだから』
そうか・・・。良かった・・・。これで最新までつながってたら俺の考えてることなんて全部丸分かりになって、後々恐ろしいことになってるからな・・・。
「ところで俺の刀は今どこに??」
『私が持ってるよ。私が持つと見えなくなるらしいね。でも私はどこにあるのかちゃんと分かるから心配しなくてもいいよ』
俺は愛華から刀を受け取ると、広い庭に出て素振りを始めた。剣道なんてやったことないからな・・・。あの後本屋によって入門書を買って一応目を通してみたものの、やはり一朝一夕ではできないか・・・。俺はそれから朝食ができるまで延々と刀を振り続けた。昨日から違和感があったが、もぎ取られて、契約で直った右腕だけが今までの右腕とは何か違うものと感じられた。まあ・・・今日の放課後にでも分かるだろう・・・。あの生徒会長なら何か知ってるだろうさ。俺はそう簡単に高をくくっていた。それから朝食をとり、いつもの時間に学校へ出発した。もちろん守護霊の愛華も一緒に刀を持って。昨日と同じ通学路・・・、昨日は人間の妹と歩いていたのにそれが1日で変わってしまうものなのだろうか・・・。昨日同じ風景、同じ桜の木、同じように登校する生徒たち、同じように走る車・・・など昨日と同じ風景なのに・・・、何か寂しく感じられた。愛華はそんなことはお構いなしに風景を楽しんでいた。俺はそれを見て何かいたたまれなく感じた。教室に着くと近くの友達としゃべる。斉藤智・新部明・小西桜・加藤尚子の仲の良い4人組だ。俺は小さい頃から近所に住んでいる小西桜が好きだ。身長は女子高生の平均よりも若干低いがそこがかわいい。栗色のショートヘアーがなんともたまらない。って俺はロリ属性か??まあ、そこはいいとして・・・、俺を含めた5人でホームルーム前の会話を楽しんでいた。
「昨日学校で大きな爆発があったんだって!!」
小西さんが言う。それは俺と愛華が悪霊だったかな??に襲われたときのだな。
「ああ~、差から今日の朝から業者の人たちが来てたのか。グランドに大穴開いてたからな。一体何があったんだ??」
智が言う。それは生徒会長が悪霊を切って、悪霊が爆発したからだったからかな??それと俺達の契約のときのも含まれるのかな??
「最近だけど行方不明になる若い人たちが続出してるらしいね。まあ、若い人たちだけじゃないけどね」
加藤だ。確かにニュースではなんだかいじめを苦にしていた男子中学生が3日前から行方不明だって言ってたな。悪霊と何か関係あるのかな??
「ふっはははは、事件があるところに新部あり!!俺はその行方不明が明らかになったときからそのこの行方を捜しているんだぜ!!」
まったく親が警察だからってお前までやることないだろ明らめ。
「そんなこと言うなよ佑ちゃん、俺は将来警察になるんだから早くからやっても損はないだろ??」
だからその佑ちゃんはやめてくれ、はずかしい・・・。それよりももし危ない目にあったら元も子もないだろ??
「そんなことを恐れて警察が勤まるかよ」
「だから佑ちゃんが言いたいのは明が危険な目にあったら親が心配するってこと」
おお、ナイスフォローだよ小西さん。あなたは俺の天使だ!!女神だ!!
「佑ちゃん・・・目が羨望のまなざしになってる」
なっなんと!!気づかなかったぜ。加藤に突っ込まれる俺。
「実は俺も明の手伝いしてるんだぜ」
お前もかよ智・・・。俺はなぜ彼らがそこまで事件に首を突っ込みたくなるのかが分からなかった。
「それはだね佑ちゃん・・・」
「俺達が心霊探偵団に入部してるからなんだよ~~~」
ずってーーん なんですかそれは~~??俺は思わずイスからずっこけた。ものすごく痛い・・・。
「大丈夫??佑ちゃん」
心配そうな顔をして近づいてきた小西さん。ああ・・・小西さん・・・ありがとう。僕はもう死んでもいい。
「佑ちゃん・・・口から白いものが飛び出してる・・・」
はっ!!あぶない、あぶない。本当に死ぬところだったぜ。サンキュー加藤。
きーん こーん かーん こーん 朝のホームルームの始まる鐘が鳴った。
「「「「また後でね」」」」
4人はそれぞれの席に戻った。小西さんは俺の後ろの席。いつでも話しかけられる。
『お兄ちゃん・・・なんかいやらしい目で小西さんを見てるよね・・・』
ジト目で愛華が俺を睨みつけてくる。正直怖いです、ハイ・・・。でも愛華よ、そんなことはないぞ。小西さんは今日もかわいいな~って思ってたんだよ。
『そのときの目がいやらしかった』
うっ・・・、うそは付けないな・・・。確かに俺は小西さんと一緒にいたいと思っていた。ブラコンの愛華には悪いが俺は昔から小西さんのことが好きだった。でも、小西さんは今誰かと付き合ってるのかな??プライベートのことには一切関与しないようにしてたんだがな。それは万人に対してだぞ!!小西さんだけではない!!
『それよりもさっきの話・・・、やっぱり昨日の悪霊みたいなのが関わってるのかな??』
それは分からない。だから今日生徒会室で説明があるんだろうさ。放課後まで待てばいいさ。
『私は退屈なんだよ・・・。何か面白いことはないかな??』
周りにたくさんの守護霊がいるんだからそいつらと話せばいいだろ。
『それもそうね。ありがと、お兄ちゃん』
そう言って愛かは近くの守護霊たちと会話を始めた。すぐに溶け込めているようだった。相変わらず人間でも守護霊でもすぐに仲良くなれるのは愛華の才能なんだな。つくづくもったいないことをしたもんだ・・・。それよりも昨日から俺は今まで見えていなかった霊が見えるようになった。さらに守護霊と悪霊モドキの区別も付けられるようになった。なんというか・・・オーラが違うんだよな。守護霊はなんだかぽかぽかと暖かい感じがして一緒にいて幸せに感じる。でも悪霊は近くにいるほど肌寒く、心が凍らされる感じだった。これからどうなるんだか・・・。俺は小さくため息を吐いた。
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