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ミッションIN修学旅行~神崎家の過去~

俺達は清明神社の中に案内された。いつもは中には入れないらしいが特別らしい。そして嘗て清明が使っていた部屋に案内された。そこには古びた巻物やら掛け軸やらがたくさんあった。


「すごいですね~」


歴史が好きな美野里さんが興奮しながら見て回っている。


「確かに保存が利いているから、ちゃんと嘗てのままだ」


感心している輝弥。俺達は座って式神に出されたお茶をすすっていた。


「俺達に話したいことってなんですか??」


俺は清明に聞いてみる。


「あの少女とあなた方兄妹についてです」


「俺達との関係??」


『どういうことですか??』


「私が生きていた頃です・・・。私の友達に神崎(かんざき)(きよ)(のぶ)というものがいました。彼はいつもとある姫に野本に通っては得意な笛を演奏していました。その姫こそが藤原さくら・・・」


「あの時出てきた名前だ・・・」


「聞き覚えがあるんですね。それはギンと契約したときですね」


「なんで分かるんですか??あなた方は似ているからですよ。先祖とね」


「・・・」


「そして清信には妹がいました。神崎千晴・・・。容姿端麗、才色兼備。見事なまでの女性でした」


「俺と愛華みたいなものだな・・・」


「そして千晴殿は清信殿に恋をしていたのです」


『まんまだね』


「ああ・・・」


「しかし、清信殿はさくら姫にしか眼が行っていなかった。ギンに乗って空を飛んだりするのは日常茶飯事でした」


「俺と同じだな・・・」


『お兄ちゃん・・・まさか・・・』


ちょっと待て愛華!!ここは話を聞こうではないか!!


「千晴殿の心にはさくら姫に対する恨みが募って行きました。大切な兄を奪われてしまうと・・・。そして決定打になったのが彼らの結婚でした。藤原家は最初は渋っていましたが、数々の戦いで多くの活躍を治めた清信殿に押し切られた形で結婚を認めたのです。まあ、最後は太鼓判を押されたのですがね・・・」


「それで・・・??」


「結婚式の当日・・・事件は起きたのです・・・」


「・・・」


『何が起きたんですか??』


「千晴殿がさくら姫の魂を悪霊たちに売ったのです・・・」


「なんだって!!」


「マジかよ・・・」


「そんなことができたんですか??」


「千晴殿は昔から祈祷術が得意でしたから・・・術式を組み立てさくら姫に襲わせるようにしたのです。そして会場はひどい状態になりました。最悪のことにさくら姫に取り付いたのが悪霊に心を食われた千晴殿でした・・・」


「なんてことだ・・・」


「あまりに強い悪霊を呼び寄せてしまい、自らでは制御できなかったのでしょうな・・・。封印を余儀なくされた清信殿はその日から3日3晩戦い続けました」


「人間業じゃねえな・・・」


「清信殿はたださくら姫と千晴殿を助けたい一身で銀とともに戦いました。あふれる悪霊たちをギンが喰らい、清信殿が悪霊化した彼女と戦いました・・・。そしてギンが力尽きながらもすべての悪霊を喰らい・・・清信殿は自らの魂を刀に転生し彼女たちを救いました。そのときの悪霊が2度と出ないように『壊魂石』という赤い石に封印して・・・」


「その後はどうなったんですか??」


「さくら姫と千晴殿は助かりました。しかし清信殿は魂を消費しすぎ結婚した後数ヶ月でなくなりました。その後ちゃんと子供は生まれたそうです。その子が生まれなかったら君たちは生まれなかったんだよ」


「そうですか・・・」


『ですね・・・』


「これが私が知っている神崎家の過去だ」


俺は何も言えなかった。あれは俺のご先祖様が命をかけて封印した悪霊だったなんて・・・。


「ところでこいつの刀どうにかならねえかな??」


「あ!!忘れてた!!」


俺は急いで折れた刀を鞘から出した。


「これは派手にやられましたね。それにすでに寿命来てますね」


「ギンの力を使ったときにヒビ入ったんです」

「もともとこの刀ではギンの力は耐えられないんだよ。もともとギンを使いこなす刀はこの世に1本しかないからね」


「あるんですか??」

俺は身をのりだして言う。


「君ガギンに認められた人間だからね。きっとこれを使いこなせるだろう。君のご先祖様の魂が脈々と受け継がれているこの刀・・・名を『桜一文字』。僕にも抜けなかったこの刀。君なら抜けるだろう」


俺は清明から受け取った。この刀はなぜか俺の右手にしっくり来る。まるで俺の手と一体化している感じだ。


『お兄ちゃん・・・抜いてみれば??』


そうだな・・・。俺は立ち上がり、鞘と柄に手をかける。そして・・・。


「抜けた・・・」


なぜ抜けないのかと質問したくなるように滑らかに鞘から刃が出てきた。銀色に輝くその刀には飾りとして柄に桜という文字と花びらが彫られていた。


「さすがだ・・・今日まで待ち続けてきた甲斐があったよ」


清明も嬉しそうだ。俺は少し力を入れてみると、刀の刃にギンの力が付加された。銀色の霊気をまとっていた。


『きれいだねお兄ちゃん!!』


ああ、そうだな。


「これで清信殿との約束を果たせたよ」


「約束??」


「氏の魔ぎはに俺の子孫にこの刀がふさわしいものが現れたら渡してくれとな。そのときあいつが現れるといっていた。あの方は今回のことを予言していたんだ」


「今度は俺がやる番なんだな・・・。でも先祖のようにはならねえ」


『お兄ちゃん??』


「俺は死なない!!そしてみんなと幸せになるんだ!!」


「そのためなら俺達も協力させてもらうぜ」


ありがとう輝弥。


「私も頑張るよ!!」


ありがとう美野里さん。


「私は少し眠りますかな。またあなたたちと会えることを楽しみにしていますよ」


「色々ありがとうございました」


「健闘を祈る」


そう言って清明は消えていった。


「よし行くか・・・」


「ああ・・・」


「そうだね・・・」


「最後の決戦の土地・・・蒼陽市に!!」


俺達はその後宿舎に帰り次の日も残りの修学旅行を楽しんだ。小西さんの存在はみんなから消えていた。そしてもう1人も・・・。それに気がつくのはもっと後になってからだった。



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